妊活中はOK!妊婦になったら要注意!?メチル水銀のリスクとは?
2016/01/26 掲載
たんぱく質、EPA、DHA、カルシウム、タウリン…これらは魚に含まれる、からだや脳の健康に欠かせない栄養素。「魚=健康」というイメージは強く、健康のために毎日魚を食べているという方もいらっしゃることでしょう。ですが、妊娠中の方に限り、食べる魚の種類や量に注意が必要となります。
既に以前のコラム(妊娠する前に知っておきたい!妊婦の食事の注意点とは?)でも触れていますが、魚はメチル水銀という微量の有害物質を含んでいるため、特に食物連鎖の上位にいる大型の魚は食べ過ぎないよう注意しなければなりません。
もちろん神経質になりすぎる必要はありませんが、より魚を安心して食べることができるよう、どんな魚なら安心なのか、また大型の魚は週何回までなら問題ないか、という具体的な情報をご紹介致します。
メチル水銀ってどんなもの?
水銀は地殻に豊富に含まれる鉱物で、火山活動や地殻変動、また石炭や石油の燃焼により大気中に放出され、空気や水、土の中などを循環しています。
水銀にはいろんな種類がありますが、中でも特に人体の有害となるのがメチル水銀。メチル水銀を含む食品を口にすると、消化管から吸収され脳に移動します。これが脳に一定以上蓄積されると、視野障害、聴覚障害、言語障害、運動障害などの中枢神経系の障害が生じます。
水銀による健康被害の事例としては、水俣病がよく知られていますね。ですが、現在では工業廃水の規制が厳しくなっており、このような心配はありません。
また、体内に取り込まれた水銀は徐々に排泄され、約2か月で半分に、その後も時間とともに減少していきます。通常の食生活では、水銀が体内に過剰に蓄積されることはまずないでしょう。
ですが、お腹に胎児のいる妊婦に限っては、少し注意が必要です。
妊娠中だけ要注意!その理由は?
私たちが摂取した水銀は、腸管から吸収され、腎臓、肝臓、脳などの臓器に蓄積し、その後、尿や便、また頭髪などから排泄されます。
ですが胎児に関しては、からだに不要なものを排泄する機能が未熟なため、臓器や脳に蓄積されやすいため、水銀を多く含む魚の摂取量に注意する必要があるのです。
胎児は母親から胎盤を通して他の栄養素とともに水銀を摂取するので、胎盤の完成する4ヶ月以降、胎児の発達が著しい妊娠後期以降は特に、水銀を多く含む魚を食べる回数を減らすことが、水銀による健康被害を防ぐポイントとなります。
妊娠に気付く前(妊娠2ヶ月頃まで)に摂取された水銀に関しては、胎盤が出来上がるまでに約半分が排泄されているため、特に心配する必要はありません。
妊娠中、安心して食べられる魚はこれ!
ここまでの情報で、なんだか不安になってしまった妊婦さんもいらっしゃるでしょう。
そんな方のために、安心して食べられる魚をご紹介します。
基本的に、青背の魚、川魚に関しては神経質になる必要はありません。
週に4~5回食べられるもの | 週7回食べられるもの | |
魚類 |
・アナゴ
・イサキ
・マガレイ |
・マアジ
・マイワシ
・サケ |
魚介類 |
・スルメイカ |
・アサリ
・カキ ・ホタテ |
※厚生労働省 魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)を参考に検討したものです。
※1回あたりの摂取量は80gとしています。
※上記は仮に週4~5回(左)、もしくは7回(右)食べた場合でも、胎児にとって安全とされる量の上限を超えない水銀量の魚です。
注意の必要な魚と1週間の目安量
上記の安心して食べられる魚を通常の食生活に取り入れた上で、注意の必要ないかの魚も週に1~2回食べることが可能です。
週に1回までにしておきたいもの | 週に2回までにしておきたいもの |
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※厚生労働省 魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)を参考に検討したものです。
※1回あたりの摂取量は80gとしています。
※エッチュウバイガイは、つぶ貝として食べられることの多い貝類です。
今回は、魚に微量に含まれる有害物質についてご紹介しましたが、本来、魚は魚にはからだや脳の健康に役立つ成分を豊富に含む食品です。
良質なたんぱく質、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、カルシウムなどを豊富に含んでおり、これらは成長期の発育や成人のメタボ予防、シニア世代のロコモ予防にも必須の栄養素と言えます。
もちろん、妊活中や妊娠中の方の食生活にも積極的に取り入れて頂くことが望ましいもの。妊娠中のみ、水銀含有量の少ない魚を選んで食生活に取り入れ、胎児の発育をサポートしていきましょう。
参考文献:厚生労働省 魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)
厚生労働省 これからママになるあなたへ
内閣府 食品安全委員会資料 実は食べている? ~自然界のメチル水銀~