脳力アップのためにできること ~嗜好品編~
2012/04/06 掲載
脳に良いことを、食事・睡眠・運動から考えた「脳力UPシリーズ」も、今回で最後!最終回では、嗜好品が脳に与える影響を考えます。
仕事や勉強の息抜きに、煙草を吸う、コーヒー、コーラを飲むなどなど。それぞれにリフレッシュ方法を持っていることでしょう。 けれども、その方法が脳にどのような影響を与えるか、考えたことはありますか?作業効率を上げるつもりが、実は脳にブレーキをかけていた…そんなことのないよう、嗜好品が脳に与える影響について考えてみましょう!
前回までの「脳力アップのためにできること」睡眠・運動編はご覧いただけましたか?あわせてご活用くださいね。
脳力アップのためにできること~睡眠・運動編~
嗜好品が脳に与える影響は?
【アルコール】
アルコールは少量飲むと食欲を増進させ、気分を開放的にしリラックスさせる効果があります。
これは、普段ドーパミン神経の活動を制限しているギャバ神経が、アルコールにより抑圧されるため。
そしてさらにアルコールがドーパミン神経を刺激し、大脳辺縁系にある快感サーキットを活性化させ、
ドーパミンを放出させるため、アルコールを飲むことによって快感や陶酔感が得られるのです。
脳は年齢とともに委縮しますが、アルコールはこのスピードを著しく早めます。一説には、一日二合以上の
飲酒をする人は、飲酒しない人と比べて脳委縮が10年早く進むといわれています。
ダメージを受ける部位は、思考や判断を担当する前頭葉と記憶を保持する側頭葉です。毎日飲酒する人は
断酒することで、回復することができるそうなので、飲みすぎには注意しましょう。
【たばこ】
たばこを吸うと頭がさえて良いアイディアがうかぶという意見があります。確かに少量のニコチンは脳を刺激し、
快感・覚醒・疲労回復・集中力や注意力の増大などの良い効果が認められています。
ただし、この効果はほんの一時的なもので、長期的には脳に悪影響を及ぼします。
有名なのは、たばこの煙に含まれる一酸化炭素が血液中のヘモグロビンと結合することで、脳が酸欠状態になり、
脳に一過性の障害が起こること。 またそのほかには、煙に含まれるアセトアルデヒドが脳内物質と化学反応を起こし、
できた毒物が神経細胞にダメージを与えることも知られています。
【カフェイン】
カフェインの取りすぎは、脳に悪影響を及ぼし、かえってうつや疲労を引き起こします。 カフェインの刺激により、
勉強や仕事がはかどるような気もしますが、実際にはカフェインの摂取量が増えるほど自然の興奮剤である
ドーパミンやアドレナリンへの感受性は落ちていくことがわかっています。
またカフェインの過剰摂取により、脳と副腎が疲弊していき、ドーパミン、アドレナリンが十分に作られなくなります。
このため、やる気も集中力もなくなり、うつや疲労に襲われることになるのです。
取りすぎの基準は1日あたり500mgのカフェイン(コーヒー5杯分)。
コーヒーのみならず、緑茶、紅茶、コーラ、チョコレート、ココアにもかなりの量のカフェインが含まれています。栄養ドリンクや、
解熱鎮痛薬にも多く含まれているので要注意!
疲労感や頭痛に悩まされている人は、アルコール、たばこ、カフェイン、いずれも試しに2週間絶ってみると、
その影響がわかるといわれていますので、興味のある方はぜひ挑戦してみてください。
イキイキ人生で脳力アップ
「考え、言葉で表現し、実行する」この三要素を磨き続け、目標、希望、責任感、緊張感、集中力を持って積極的に生きること。
これが健康な脳の一番のキーポイントとなります。
目標があれば、それを達成しようと希望がわき出て、「やる気」が生まれ、「やる気」は側坐核と大脳辺縁系、大脳基底核を興奮させます。
また脳にとって大切なのは、音楽、絵画、映画、劇、物語などからの「感動」だと言われています。なぜ感動が
脳にとって良いことなのでしょうか?それは、感動による刺激は体性感覚野に入り、そこから視床下部や前頭連合野に
伝えられるからです。
視床下部では私たちをストレスから守る副腎皮質ホルモンが分泌されます。 そして前頭連合野や前頭葉では、
性格・創造性・意識・野心などのハイレベルな心を作りだしているのです。
つまり感動という快いシグナルが脳をさらに健康にさせるのです。
いかがでしたか?普段何気なくしていることが、脳にいいことだったか、悪いことだったか確認していただけましたか?
ポイントは、疲れた時は、しっかり休養!そして毎日できることとして、適度な運動と、目標や感動のあるイキイキ生活を!
忙しい毎日を集中力UP、やる気UPで乗り切りましょう。
参考資料
栄養の基本がわかる図解辞典
食べ物を変えれば脳が変わる
脳の健康
治す・防ぐ・若返る健康医学事典 こころ力脳力編