国がススメる健康づくり法。その中身は…?
2013/02/12 掲載
健康で長生きしたい…とは誰もが思うものですが、
具体的にどのようなことを心がけて生活すれば良いのでしょうか?
実はその指針が国から出されている…ということは意外と知られていないかも知れませんね。
それは、「健康日本21」、厚生労働省が推進している国民健康づくり運動です。
この運動の目的を簡単に言うと、
壮年期の人が生活習慣病等の悪化により死亡するのを減らし、
介護なしで生活できる元気な高齢者を増やすことです。
具体的にはどんなもの?
日本人の「食生活」・「身体活動」・「アルコール」など9つの項目の健康課題に対して目標値を設定し、
そのための取り組みを、国だけでなく関連する学会や企業も含めて推進していく、というものです。
これらと連動して、「食事バランスガイド」がつくられたり、
子どもや学生・社会人向けの様々な「食育」活動がくり広げられてきました。
この数年の日本人の健康意識の高まりは目覚ましいものですが、
単なるブームではなく、国の方針に基づいた活動の賜物とも言えるのではないでしょうか。
気になる成果は?
具体的な目標値や成果について、身近な部分をピックアップしてみました。
残念ながら目標を達成できている項目は少ないのですが、
食塩摂取量に関しては、女性は「達成!」、男性もほぼ達成できています。
脂肪エネルギー比率についても、減少傾向ですので「あと一歩!」ですね。
上記の結果は、あくまで調査対象となった方々の平均値ですが、
引き続き、「油ものや塩分の濃い食品は控えて」、「適度なカルシウムの補給」と「歩数アップ」など、
健康的な食生活や生活習慣を心がけていきましょう。
今後「健康日本21」はこう変わる!「健康格差の減少」に注目
この健康日本21は、実は2013年度にリニューアルすることが決まっています。
カテゴリーや項目の変更、目標値の修正など様々な部分が変わりますが、
中でも注目を浴びているのは、基本方針に「健康格差の縮小」という言葉が加えられる点です。
「健康格差」は地域や社会経済状況の違いによる健康状態の差ですが、
過去の調査から「所得が高い世帯に比べて低い世帯で朝食の欠食や
運動習慣のない人々の割合などが高い」ということが明らかになっています。
さらに、都道府県別での詳しい調査結果では
「肥満者の割合」・「喫煙率」「歩数」などの項目で地域格差も見られています。
この格差を放っておくと、ある都道府県には寝たきりの高齢者が非常に多い…という事になりかねません。
データからも、都道府県によって、約3年近くも健康寿命が違うことがわかります。
これほど都道府県によって差があるのには、
都心に比べて地方は車移動が多く日常生活での運動量が少なくなりがちなことや、
寒い地方では血管に負担がかかりやすいこと、味つけの濃い食事が好まれる地域もあること
などが考えられるのではないでしょうか?
この「健康格差」を解消するためには、
各都道府県や自治体の課題に沿ったきめ細やかな取り組みが必要です。
国や各都道府県のユニークな取り組みなどがあれば、
またからだカルテでもご紹介させていただきたいと思います。
最後になりましたが、この「健康日本21」を私たちが参考にするメリットとしては、
厚生労働省が専門家と一緒に作り上げたものなので、きちんとしたエビデンスに基づいたものであること、
そして、食生活・運動・喫煙・飲酒などの生活習慣全般についての正しい情報や目指す姿を共有することが
できること、などが挙げられます。
テレビや雑誌等の一時的な「流行り」のダイエット法だけにとらわれるのではなく、
国が発信する情報も参考に上手に健康管理を続けていきたいですね。
参考資料:
厚生労働省ホームページ 健康日本21(第2次)
国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf