食生活の乱れが原因?!8つの質問に答えて味覚障害度をチェック

2015/01/13 掲載

健康のために薄味が良いのはわかるけど、全然おいしくない!と感じている方は、一度食生活を振りかえってみることをおすすめします。味覚は多少人と違っても「好みの問題」と認識されがちでですが、実は味覚障害のために食べ物の味をきちんと認識することができなくなることがあるのです。味覚障害で受診される方は増加の傾向にあり、決して他人事ではありません。今回は、味覚と食生活の関係についてご紹介したいと思います。

 

味覚障害の症状とは?

味覚障害の症状は、主に以下のものです。

味覚減退(消失)  以前は美味しかったものなのに、最近はそう感じない
自発性異常味覚  口の中に何もないのに苦味や塩味を感じる
乖離性味覚障害   甘味、塩味など特定の味だけわからない
異味症  本当は甘いはずのものなのに、苦みなど違う味を感じる
悪味症  何を食べてもまずい

   

これらのうち1つでも思い当たるものがあれば、味覚障害を疑う必要があります。

味覚障害は、自覚のないまま進行し、気付いた時にはかなり症状が進んでいるケースも少なくありません。 

生活に支障がない場合でも、かかりつけの医療機関や耳鼻咽喉科へ相談してみることをおすすめします。

※詳しい味覚の検査は味覚の専門外来のある病院や耳鼻咽喉科・歯科・口腔外科などで受けることができます。

 

味覚障害の原因は?

味覚障害の原因として第一に挙げられるのが、偏った食生活による栄養バランスの乱れです。 味を感じるのは舌表面にある味蕾(みらい)と呼ばれる器官ですが、味蕾の新陳代謝に必要なミネラル「亜鉛」が不足することにより、味蕾が減少し味がわかりにくくなってしまいます。

食事より甘いものやアルコールなどの嗜好品を優先した食生活では亜鉛が不足しやすく、味覚障害を引き起こす原因となるのです。アルコールを体内で分解する際にも亜鉛が消費されるため、大量飲酒の機会が多い場合は特に亜鉛不足い陥りやすくなります。また、食品添加物の中には亜鉛の吸収を妨げるものもあるため、外食やインスタント食品などをよく利用する方も注意が必要です。

 

亜鉛不足以外の原因としては、刺激物の摂り過ぎや加齢に伴う味蕾の減少、ドライマウスや嗅覚の低下によるもの、薬の副作用やがん治療によるもの、その他の疾患に伴うものなどが挙げられます。

 

女性の場合、生理前に甘いものや味の濃いものを好むようになるなどの味覚の変化を自覚されるケースもありますが、これは生理前症候群(PMS)の一症状と考えられます。生理前症候群もまた、日頃の食生活の乱れによりビタミン・ミネラルが不足していることが一因とされます。

 

味覚障害度をチェック!

ここまで読んで、ちょっと不安になった方もいらっしゃるでしょう。

以下の項目にいくつ当てはまるかをチェックしてみましょう。

 

  □ 外食やコンビニの食事を週に10回以上利用する

  □ レトルト食品や缶詰を1日1品以上食べる

  □ ご飯を食べずに主菜や副菜だけで済ませることがある

  □ スイーツやアルコールを食事代わりにすることがある

  □ サラダはマヨネーズやドレッシングたっぷりで食べたい

  □ 甘い飲み物を1日3杯以降飲む

  □ カレーや四川料理、韓国料理などの激辛料理が大好き

  □ こしょうや唐辛子など辛味の強い香辛料をよく使用する

 

 該当する項目なし

 健全な味覚をキープしやすい食生活と言えます。この習慣を大切にし、味覚を磨いていきましょう。

 

 1~3コ

 忙しさやストレスで食生活が乱れ始めていませんか?

 辛いものや甘いものを減らし、バランスの良い食生活を目指しましょう。

 

 4~6コ

 ミネラル不足や味蕾への負担が心配な食生活です

 薄味の料理や和食を1日1~2回は食べるようにして、味覚のリセットをしていきましょう。

 

 7コ以上

 このままでは味覚障害となる可能性があります。また、塩分や糖分の過剰摂取から生活習慣病を招く心配もあります。

 これをきっかけに食生活全体を見直していきましょう。

 

亜鉛不足を解消して味覚を磨こう

栄養バランスの乱れによる味覚障害は、日々の食生活を見直すことで改善が可能です。

味蕾の新陳代謝に欠かせない亜鉛を多く含む食品を意識することはもちろん大切ですが、亜鉛はさまざまな食品に少しずつ含まれているので、毎食「主食・主菜・副菜」を揃えて食べるだけでも亜鉛不足は大幅に改善することができるのです。

 

主菜となる肉・魚介類・大豆製品・卵は亜鉛を含むものがほとんどですし、日本人の主食の代表格であるご飯を1日3膳(450g)食べれば2.7mg、玄米なら3.6mgも亜鉛を摂取することができます。野菜・海藻・きのこ・果物などに含まれる亜鉛は微量程度ですが、野菜や果物に含まれるビタミンCには亜鉛の吸収をよくする作用があるため、やはり主食・主菜と一緒に野菜類たっぷりの副菜を食べることが大切なポイントと言えるでしょう。

 

主な食品100g中の亜鉛含有量(mg)

 

 

1日あたりの亜鉛の推奨量は、成人男性で12mg女性では9mgとなっています。

代表的な食品の亜鉛の含有量を下記の表でチェックして、バランス良く取り入れていきましょう。

 

いかがでしたか? 食生活の乱れ→味覚障害→さらなる食生活の乱れ・・と、食生活悪化のスパイラルも心配になる内容でしたね。人が感じる美味しさは、「生理的おいしさ・習慣的おいしさ・精神的おいしさ」(※)の3つに分類されるため、薄味の食事をコツコツと実践したり、健康的な食生活を大切にしていくことで、薄味のものが美味しい!と感じられる味覚を手に入れることは、決して難しいことではありません。今回のチェックで味覚障害が心配になった方も、ぜひできることから健康的な味覚を目指していきましょう。

 

※生理的おいしさ:からだに必要な栄養素を含むものをおいしいと感じること

  習慣的おいしさ:普段食べ慣れているものを安心感を含めておいしいと感じること

  精神的おいしさ:価値観により好ましいと考える味を心理的因子によりおいしいと感じること

 

 

参考文献: やさしい味覚の自己管理(池田実著) / 日本食品標準成分表2010

 

 

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。