今、日本人にとって必要な栄養の摂り方とは?~食事摂取基準改定
2015/04/28 掲載
フランス政府がやせすぎモデルを採用した事務所などに罰金や禁固刑を科す法案を決定しました。
今回の決定の背景には、4万人ともいわれる拒食症への対策との声があります。
スリムなモデルの体型を真似て、極端な減量を目指すことの危険はフランスに限ったことではありません。
私たち日本人が食事を摂る上での基準となる「食事摂取基準」が2015年4月から改定されましたが、この中でも注目された点の一つが評価指標としてBMIが利用されていることです。
今回は改定された食事摂取基準の中からエネルギー摂取について考えてみたいと思います。
食事量は健康的な体型(BMI)に近づくよう調整を
年齢(歳) |
目標とするBMI (kg/㎡) |
18-49 | 18.5-24.9 |
50-69 | 20.0-24.9 |
70以上 | 21.5-24.9 |
これまでの食事摂取基準では、性別、年代別に推定必要エネルギーが定められていましたが、私たちの体は一人ひとり異なり、身長の高い人、低い人が一律に同じ必要エネルギー量ということはありません。
これまでも基準値の表記や個別性への配慮が必要な点は盛り込まれていましたが、今回は目標とすべき年代別のBMIが規定されています。
私たちの体は
A) エネルギー摂取量とエネルギー消費量が等しいとき、
体重の変化はなく、体格(BMI)が保たれます
B) エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回ると
体重は増加し、肥満につながります
C) エネルギー摂取量がエネルギー消費量を下回ると
体重は減少し、やせにつながります
目標とするBMIの範囲は男女共通で、あくまでも参考として使用すべきものとされており、特に70歳以上では、総死亡率が最も低かったBMIと実態とのかい離がみられるため、虚弱の予防と生活習慣病の予防の両者に配慮し、当面目標とするBMIの範囲を21.5~24.9としています。
エネルギー必要量には個人差もあるため、単一の値として示すのは困難です。
しかし、エネルギー必要量の概念は重要であること、目標とするBMIの提示が成人に限られていることなどから、参考表として推定エネルギー必要量も示されています。
活用にあたっては、食事摂取状況のアセスメント、体重およびBMIの把握を行い、エネルギーの過不足は体重の変化やBMIを用いて評価する必要があります。
定期的な体重(BMI)のチェックをしながら、少なくともBMI18.5以上になるように体重をコントロールしていくことが健康的な生活の基本といえます。
日本人女性はやせすぎ?
年代 | BMI18.5未満の割合 |
成人女性全体 | 12.3% |
20代女性 | 21.5% |
30代女性 | 17.6% |
40代女性 | 11.0% |
昨年発表された2013年の国民栄養調査の結果では、BMI18.5未満のやせの割合は20代女性で21.5%と最も高く、30代17.6%、40代11.0%で、これまでで最もやせ女性の割合が高かったのです。
20代女性の5人に1人がやせというのは、発展途上にあるバングラデシュやアフリカ諸国と同等レベルといえるそうです。
目指すなら、メリハリボディー!
女性のやせは栄養不足による貧血や卵巣の発達不全を招き不妊の原因にもつながります。
日本人女性はBMI18.5以上の健康なからだを目指して欲しいですし、やせ過ぎよりも適度に筋肉と脂肪のある引き締まったからだこそが美しいと感じられるようになって欲しいと思います。
ところで、今回の食事摂取基準の改定のポイントとしては、このほか、生活習慣病予防の観点に着目していることや塩分摂取の目標量がさらに引き下げられたことなどがあげられます。
詳しくは次の機会に・・
参考資料: