日本人でよかった!「温泉」を10倍楽しむ豆知識

2015/12/22 掲載

家庭での「入浴」でもリラクゼーションにつながり、眠りが深くなるなどうれしい効果がありますが、やっぱり「温泉」に行きたい!という方も多いのではないでしょうか。

ゆったりと温泉につかり、温泉地の特産の食材を使った料理を味わうと「あー!日本人でよかったぁ」と思う筆者が温泉の基本や正しい入浴方法について調べてみました。

温泉の定義

まず、温泉の定義ですが、温泉法という法律でキチンと決まっています。

“地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、温度25度以上又は次の物質を有するもの”とあり、その物質とは遊離炭酸や、リチウム、ストロンチウムなどのイオンや独特の香りで温泉らしさを感じる硫黄成分、美人の湯で知られるメタけい酸やお肌つるつるになる炭酸水素ナトリウム、ラドン、ラジウム塩など多岐にわたり、それぞれに含有量が一定以上であることが必要です。

 

温泉を公共の浴用や飲用に利用する場合は都道府県知事又は保健所長の許可が必要で、それぞれの効果や禁忌についての掲示が義務付けられていますので、利用の際にはチェックしてみる事も大切ですね。

 

入浴のルール

まず一番重要な温泉に入ってはいけない時とはどのような場合でしょうか。

1)重度の病気の状態(結核、悪性腫瘍など)消化管や外傷による出血時、
  少し動くと息苦しくなるような心臓や肺の状態が見られる時

2)食事の直前、直後、飲酒時

3)過度の疲労時や激しい運動後30分間

 

1は病状の悪化や身体への負担があるため、
2はふらつきや入浴中に寝てしまうことにつながり危険なため、
3も1や2と同様の理由からです。
高齢の方、高血圧、心疾患などのある方は42度以上の高温浴を避けた方が良いようです。

 

以前、妊婦さんは温泉に入ってはいけないという話もあったようですが、妊娠中であっても長湯を避け、床などが滑りやすいので注意して入浴すれば問題なさそうです。

またマナーの観点から、温泉で泳いだり、タオルをお風呂に入れたりするのはもちろんダメです。

温泉の正しい入り方

1.入浴前には手足からはじめて全身にかかり湯をし、身体を洗ってから入ります。

2.入浴回数と時間は慣れるまでは、1回3~10分を1~2回、慣れてきたら1回15~20分を3~4回程度がおすすめ。

3.身体についた温泉成分は洗い流さずタオルで拭き取ると良いでしょう。

4.入浴による脱水予防のため、入浴の前後には水分補給を忘れずに。

 

飲泉ができる温泉では、温泉を直接身体に取り入れることになるのでより一層の注意が必要ですが、その量や禁忌については、それぞれの温泉地の掲示に従って、許可されていない温泉を自己流で飲むのはもちろんNGです。また、温泉は持ち帰って飲んでも効果がなく、衛生面からもその場で飲むことが重要です。

 

泉質別の効果

では、気になる症状に効果があるのはどのような泉質なのでしょうか?

疲労回復や健康増進、筋肉や関節の慢性的な痛みやこわばりへはほぼすべての泉質で効果が期待できますが、主な源泉成分について具体的にみていきましょう。

 

  特徴 適応症(入浴) 適応症(飲用) 代表的な温泉
単純温泉

アルカリ性単純温泉はPH8.5以上。刺激はマイルド

自律神経不安定症、不眠症、うつ状態

  鬼怒川温泉、水上温泉、下呂温泉、湯布院温泉郷など
塩化物泉

皮膚に塩分が付着するため保温効果、循環効果がある

切り傷、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

委縮性胃炎、便秘 秋保温泉、湯河原温泉、熱海温泉、指宿温泉など
炭酸水素塩泉

皮膚の角質を軟化させる作用がある

切り傷、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症 胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常、高尿酸血症 伊香保温泉、島原温泉など
硫酸塩泉 飲んで胆のうを収縮させ、腸のぜん動を活発化する

切り傷、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

胆道系機能障害、便秘
高コレステロール血症
四万温泉、稲取温泉、河津温泉郷、玉造温泉など
二酸化炭素泉 炭酸ガスが皮膚から吸収され保温効果や循環効果がある

切り傷、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症

胃腸機能低下 長湯温泉など
含鉄泉

空気に触れると金色に変化する

  鉄欠乏貧血 五色温泉、長良川温泉、天草温泉など
酸性泉

酸性が強いと入浴時にしみる殺菌力が強い

アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、耐糖能異常   草津温泉、大涌谷温泉など
含よう素泉

非火山性の温泉に多く
放置すると黄色に着色

  高コレステロール血症
(甲状腺機能亢進のある方は注意)
大潟温泉、白子温泉など
硫黄泉

殺菌力が強く、表皮の細菌やアトピー原因物質除去に効果

アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、慢性湿疹 耐糖能異常、高コレステロール血症 野沢温泉、須磨温泉、日光湯元温泉、芦ノ湯温泉など
放射線泉

温泉に含まれる微量の放射能は炎症に効果的

高尿酸血症、関節リウマチ   大山温泉、老神温泉、松山温泉など

※代表的な温泉は登別温泉、蔵王温泉、別府温泉郷、有馬温泉など泉質が多岐に渡る温泉地は除いています。

 

様々な効果が期待できる温泉ですが、1日行ったから、すぐに劇的な効果が期待できるというよりも短期間ではリフレッシュ効果。効果を実感するには2~3週間の療養期間が適当といわれています。

 

1泊でもいいからゆっくり温泉でリフレッシュして、訪れた土地の美味しい食材の料理に舌鼓を打つのがいいですね。

温泉は調べてみると興味深い事がいっぱいで、とても1回のコラムでは伝えきれないほどでした。

日本一の温泉県は果たしてどこなのか?など次の機会があればまたお伝えしたいと思います。

 

参考URL:環境省 温泉の保護と利用

https://www.env.go.jp/nature/onsen/docs/

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。