女性に多い便秘、どうしたらいい?運動以外の便秘改善方法
2016/11/08 掲載
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、男性に比べて女性の方が便秘の自覚症状がある人が多いという結果が出ています。※1
便秘解消には運動をしましょうと言われても、女性の場合は運動習慣がなかったり、体力的に腹筋をつける運動ができなかったり、お腹に充分に力を入れられない、妊娠中でマッサージが出来ないなど、何かと制限がかかってしまう場合があるかと思います。そんな時にも役立つ便秘改善法をご紹介します。
便秘とは?
実は、日本では便秘の明確な定義がありません。
日本内科学会では、「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」を指します。
日本消化器病学会では、「排便が数日に1回程度に減少し、排便の間隔が不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指すが、明確な定義があるわけではない」とされています。
一般的には、1日3回~1週間に3回程度の排便があれば良いとされていて、毎日出ないから便秘ということではないようです。逆に、毎日排便があっても、お腹の張りや残便感がある場合は、便秘と呼ぶこともあります。※2
なぜ、女性の方が便秘になりやすい?
これには、いくつか理由が考えられます。
・女性ホルモンによる影響 (月経前や妊娠すると女性ホルモンの変化により便秘になる)
・更年期の症状の1つ (自律神経のバランスが乱れることで便秘になる)
・ダイエット指向 (特に炭水化物抜きダイエットは便秘になりやすい)
・朝食を簡単に済ませて、1日を通して食べる量が少ない (便の元が少ないと便秘になる)
・羞恥心から、外出先での排便を我慢してしまう (我慢を続けると、排便の指令がうまく出なくなる)
以上の理由から、女性が便秘になりやすいと言われています。※3
では、どうすれば便秘を解消できるのでしょうか。
まずは、食生活から便秘解消しましょう
十分な水分を摂り、朝・昼・夕食は毎日しっかり食べましょう。
水分が少ないと便が硬くなるため、排便がしにくくなりますし、食事量が少ないと便の元が少なく便秘傾向になります。
また、食べることで腸の働きが活発になるので、食べ物を胃に入れることが必要です。特に、炭水化物抜きダイエットのように米やパンなどの穀物摂取量が減ると、食物繊維不足になり便秘になりやすくなります。毎食、主食・主菜・副菜は揃えてバランス良く食べるようにしましょう。
ビタミンB群で便秘予防!(便秘の理由が「更年期」ではないか?と思う方におすすめ)
ビタミンB1は、腸の働きを操る自律神経を正常にする効果があります。豚肉、レバー、うなぎ、玄米などに多く含まれます。
B群の一種であるパントテン酸は、腸の働きを促して排便を助けてくれる副交感神経を促進します。レバー(鶏・豚)・鶏もも肉・鮭・納豆・アボカドなどに多く含まれます。
ビタミンEで便秘予防!(便秘の理由が「更年期」「月経前」「妊娠」ではないか?と思う方におすすめ)
ビタミンEには、末梢血管を広げて血流を良くする作用があります。腸の血行が良くなると、腸の働きも活発になり排便がスムーズになります。また、自律神経やホルモン分泌を調整したり、筋肉の働きもよくする効果も。
うなぎ・はまち・ナッツ類・かぼちゃなどに多く含まれます。
植物性乳酸菌で便秘予防!
和食中心の食生活をしていた昭和40年代以前は、みそ・しょうゆ・漬物などをよく使っていたため、知らず知らずのうちに植物性乳酸菌をしっかり摂れていました。けれども、現在は食生活が欧米化したことで、和食を食べる頻度が減り、ヨーグルト・チーズ・乳酸菌飲料などの動物性乳酸菌の方を多く摂るようになりました。
同じ乳酸菌でも、植物性乳酸菌の方が生存能力が高く、腸内でより活発に働き、善玉菌を増やす効果が期待できます。そのため、便秘の場合は、植物性乳酸菌を積極的に摂ることがおすすめです。ですが、これらは塩分量が多いので、摂りすぎには気をつけたいところですね。実際に、漬物をよく食べる地域の便秘は少ないそうです。
水溶性食物繊維を積極的に。
水分摂取量が少ない上に、不溶性食物繊維を多く摂りすぎると、便が硬くなって便秘傾向になります。そのため、水溶性食物繊維多く含む食品を意識して食べましょう。
腸内環境を整える食生活については、こちらのコラムを参照して下さい。
運動やマッサージができなくても実践できる便秘解消法とは?
便秘解消には、食事内容の改善以外に、運動をして血行を良くしたり、腹筋をつける、お腹のマッサージなどがありますが、運動習慣がなかったり妊娠中や体力によっては難しいものです。そこで、明日からでも簡単に実行できる便秘解消法をいくつかご紹介します。
朝、起きたらコップ1杯の水。そして朝食をしっかり摂ろう!
起床後にコップ1杯の水を飲むことで、胃腸の働きがスムーズになり、排便しやすくなります。便意は、食べ物が胃に入ることで大腸の活動が始まり、腸の動きが活発になって起こりますが、この反応が最も起こりやすいのが、朝食後です。朝食をしっかり食べることにより、腸の働きが活発になって排便しやすくなります。そのためには、朝食後にトイレに行く時間を作っておくことも大切です。食後15~30分位は余裕を持っておきましょう。
便意は我慢しない
便意があっても我慢してしまうと、排便機能の命令系統がうまく機能しなくなり、便秘になりやすくなります。
朝はトイレに行く時間を決めておくなど、時間に余裕を持った生活ができるといいですね。
日中は活動的に!
日中にしっかりと活動することにより、内臓の働きも活性化しますし、血流が良くなって腸の働きが活発になります。運動習慣がない場合は、まずウォーキングやヨガなどで体を10分動かすことから始めましょう。
リラックスして副交感神経を働かせる
便秘の原因の一つは、ストレスや緊張で副交感神経の働きがうまくいかず、腸の動きが悪くなることです。
自律神経を整えるリラックス方法については、こちらのコラムを参照して下さい。
最後に
便秘は、食生活を整え、規則正しい生活や適度な運動をするだけでも、改善効果があると言われています。
便秘になったからと言って、下剤に頼りきってしまうと、便秘がさらにひどくなるケースもあるため、下剤は自己判断ではなく専門医に相談してから使いましょう。
また、最近はストレス社会と呼ばれますが、生活をしている中での様々なストレスが腸の働きにも関係してきます。便秘になったからといって、気にしすぎることもストレスになりますので、出来ることから生活習慣を少しずつ整えて便秘解消を目指しましょう!
参考文献
※1 厚生労働省 平成25年、22年 国民生活基礎調査
※2 「大腸と仲良くなるための本」 松生 恒夫 著
※3 「腹痛・便秘がつらいときの本」 対馬 ルリ子 著