どうして熱中症になるの?熱中症の基礎知識
2018/07/10 掲載
気温が高くなってくると気になるのが「熱中症」。
外に行く機会も少ないし…なんて軽く思っていると、落とし穴が!
熱中症は室内や寝ている間にも起こる危険性があるのです。
今回は熱中症の発生原因と危険性、そして予防対策をご紹介します。
熱中症とは?
暑い夏、気温が上昇すると体温も上昇します。
体温を調節するために汗を出し、その汗が体温の熱を奪って蒸発することにより、体温が下がります。
しかし、外気が暑く湿度も高いと汗が蒸発しないため、体温調節ができない状態になり熱が体内にたまります。
これが熱中症です。失神・けいれん・意識障害など多くの症状を引き起こします。
熱中症による死亡者数は、平成28年は年間621人。内6~9月の合計は586人とほとんどの人が夏の期間に集中していることがわかります。※1
消防庁の調査によると平成28年5月~9月の期間に、全国で50412人が熱中症で搬送されました。※2
熱中症を予防するには?
暑さ指数(WBGT)の確認
熱中症の発生には、気温・湿度・風速・輻射熱(直射日光など)が関係します。
危険度を予測するには、暑さ寒さに関する環境因子、気温・湿度・輻射熱(直射日光など)の3因子を 取り入れた指標である、暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)を参考にする方法もあります。
熱中症の危険性が高まる時期になると環境省では「熱中症予防情報サイト」※3内で、各地のWBGTの実況値と予測値を公開したり、日本生気象学会では「日常生活における熱中症予防指針」※4を発表し、WBGTによる温度を基準に危険度の目安や注意点を示しています。この時期は日常的にこのようなものをチェックすると良いでしょう。
日常生活における熱中症予防指針(※4)
温度基準 WBGT |
注意すべき 生活活動の目安 |
注意事項 |
危険 31℃以上 |
すべての生活活動で おこる危険性 |
高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。 外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 |
厳重警戒 28~31℃ |
外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。 |
|
警戒 25~28℃ |
中等度以上の 生活活動でおこる危険性 |
運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。 |
注意 25℃未満 |
強い生活活動で おこる危険性 |
一般に危険性は少ないが激しい運動や 重労働時には発生する危険性がある。 |
上手に水分を補給しましょう
外出前、運動前にはしっかり水分補給。
脱水を防ぐため、体を動かす前には必ず水分を補給しましょう!
喉が渇く前に、こまめに少しずつ飲む。
喉の渇きを感じた時は、すでに細胞が脱水を起こしている状態。
喉が渇く前に飲みましょう。 一気に飲むのではなく、100~200ml程度をこまめに飲みましょう。
飲みものの中身に注意!
特に注意したいのが、ジュースや炭酸飲料、ビール。
糖分が多いため、糖分の分解にビタミンB1を多く消費するため、飲み過ぎるとかえって夏バテを助長します。
運動中はスポーツドリンク!
ミネラル分も汗から出ていきます。
長時間の運動は、水分だけでなくミネラルやエネルギーの不足も起こりやすくなります。運動時の水分補給には、ミネラルや糖分を配合したスポーツドリンクが適しています。
ただし、市販のスポーツドリンクは体液に近い「アイソトニック(等浸透圧)」ですので、糖分の吸収には優れているのですが、糖分が多いと胃での水分吸収の速度が遅くなってしまいます。
水分補給を速やかに行いたいときは、体液より浸透圧が低くなるよう、水で2倍に薄めて飲んだりスポーツドリンクよりも電解質(ナトリウム、カリウム)濃度が高く、すばやく補給ができる経口補水液もおすすめです。
熱中症予防のために摂りたい栄養素
カリウム
汗によってカリウムも出ていってしまいますが、カリウムが不足すると細胞内が脱水症状になります。 日常でも、カリウムは過剰なナトリウムの排泄を手助けするなど、体にとって大切な役割があり、日頃からしっかり摂りたい栄養素です。
<多く含む食品>野菜類、海藻類、果物類、豆類、いも類など
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質の代謝を手助けし、疲労回復に役に立つと言われています。
疲れが溜まった状態から夏バテになることもありますので積極的に摂りましょう。
<多く含む食品>豚肉、ウナギ、海苔、大豆など
レジャーやスポーツだけでなく、室内や就寝中でも熱中症の危険はあります。
まずは、日頃からしっかりと水分を補給し、バランスのよい食事で栄養素を摂ることが大切です。
オフィスやご家庭には危険度が目で見てすぐにわかる温湿度計を活用してチェックしてみてはいかがでしょうか。
特に体温調節能力が未発達の乳幼児のいるご家庭や、体温調節能力が低下し、暑さを感じる感覚が弱わってきている高齢者がいるご家庭にはおすすめです。
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熱中症は条件によって、誰もがなる可能性があるものです。
しかし、一人ひとりが気を付けることで、防ぐこともできます。
まさか自分が!?となる前に、正しい知識を持ち、しっかり対策を練って、元気で快適な夏を過ごしましょう!
参考資料
※1 厚生労働省 人口動態統計月報(概数)(平成29年9月分)
6~9月の熱中症による死亡者数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2017/09.html
※2 消防庁 平成 28 年の熱中症による救急搬送状況
https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/assets/281012_houdou_2.pdf
※3 環境省 熱中症予防情報サイト
※4 日本生気象学会 「日常生活における熱中症予防指針」