みんな無料?妊婦も受ける?今さら聞けない「健康診断」の常識

2015/09/29 掲載

健康診断

こどもの頃は学校で身体測定を受け、身長や体重の変動に一喜一憂!

大人になってからは「健康診断」の中性脂肪などの値に一喜一憂しているのではないでしょうか?

 
こどもの頃と違うのは、大人は会社員、自営業、主婦、妊婦、定年後etc.
様々な職種やライフステージがあるということ。
法律による受診の義務、無料・有料のケースの違い、補助制度など。実はあまり知られていない点も多い「健康診断制度」。
 
知識不足ゆえに、未受診だったり、費用面で損をしたり、最悪のケースは病気の予防ができなかったり…
そんなことにならないよう、「健康診断制度」について役立つ情報をご紹介します。
 

どんな検査がある?

◯無料または補助を受けることが多い検査項目

・診察等 身長・体重・血圧・尿・腹囲・視力・聴力・血中脂質・肝機能・貧血・腎機能・心電図・胸部X線・胃部X線・眼底検査・腹部超音波・肝炎ウィルス・大腸がん・子宮頸がん・乳がん・骨密度 
(身長・腹囲・血中脂質・貧血・心電図・胃部X線・眼底検査・大腸がん・子宮頸がん・骨密度の項目は対象者の年齢や身体状況により省略される場合があります)

◯自己負担になりやすい検査項目

・腫瘍マーカー(がんを発見する判断材料となる検査)・脳ドック・肺ドック・胃や大腸の内視鏡検査・腹部超音波・前立腺がん・肝炎ウイルス

どうやって受ける?いくら位かかる?

◯ 会社員(契約社員、派遣社員含む)、公務員、学校職員

→  法律で定められた項目は会社負担で無料!会社から案内があります。
   雇用時の健康診断費用も会社負担です。  

上記に該当する労働者は、労働安全衛生法によって雇用時と、毎年1回「一般健康診断」を受ける義務があり
この費用は雇用側が負担することが定められています。
ただし、法律で定められた項目以外を受ける場合は、受診者の負担となります。

企業側が健康診断を受けさせなかった場合は、法律の規定により罰金。(50万円以下の罰金など)
労働者が健康診断の受診を拒否した場合は、懲戒処分になった裁判の例もあります。

また、深夜業を含む「特定業務従事者」に該当する場合は、6ヶ月に1度、労働者側は受ける義務、企業側は受けさせる義務があります。

◯ 自営業、定年退職した人、無職

→住んでいる自治体で実施されている健康診断を受けることができます。

費用負担について、無料か有料かは自治体によって異なります。
基本的な健康診断項目については、無料もしくは1000円位の負担で受けられることが多いようです。

勤務していた会社によっては「特例退職者被保険者制度」といって、退職後も会社負担で健康診断を受けられる場合があります。
自分の会社の制度がどうなっているか、定年退職前に会社に確認しましょう。

 

◯ パートタイマー、アルバイト

→ 勤務先での健康保険への加入の有無。または、労働時間によって異なります!
 健康保険加入状況と労働時間を確認し会社負担で受けられるかをチェックしましょう!

勤務先の健康保険に加入している場合は、勤務先の負担で健康診断を受けることができます。

ただし加入していない場合でも、パートタイム、アルバイトなどの雇用携帯の場合、同じ職場で同様の業務に従事する労働者と比較し、1週間の労働時間の4分の3以上働いている場合に、会社の費用負担で健康診断を受けることができます。

上記条件を満たさない場合、自治体が実施している健康診断を受けることができます。
(無料か有料かは自治体によって異なります)

 

◯ 主婦

→扶養者の勤務する会社の制度によって「主婦健診」がある場合も。ない場合は、自治体の健康診断へ。
扶養者の勤務する会社制度次第では、会社負担で無料で受けられますので、まずはそちらを確認しましょう。
そのような制度がない場合や扶養者が自営業の場合は、自治体の健康診断を受けましょう。(無料か有料かは自治体によって異なります)

 

どこで受ける?

◯ 従業員として健診を受ける場合

 一般的に会社がそれぞれ指定した医療機関で受けます。
 ただし労働法により、希望した場合は別の医療機関でも受けることが認められています。

 地方自治体の健康診断を受ける場合

 地方自治体が指定する医療機関で受ける必要があります。
 リスト化されている中から選ぶケースが多いので、自治体のホームページ等で確認してみましょう。
 

こんな場合、健康診断を受ける?受けない?

 妊婦

 妊婦健診を受けている為、健康診断を受ける必要はありません。
  
 もしも受ける場合は、放射線被曝を伴う検査については、避けておくほうがベターというのが一般的な考え方です。
 放射線被曝を伴う検査とは、レントゲン検査(X線検査)、CT検査、造影検査…
 などが挙げられます。
  
 ただし、妊娠初期に妊娠に気が付かず、健康診断を受けても
 胎児に重大な影響を与えてしまうことは基本的にはないと言われています。
  
 とは言うものの、受けるメリットが特になく、少しとは言えリスクがあるため
 妊娠中に健康診断を受ける妊婦はほとんどいないようです。
 自治体によっては、妊婦健診を受けている妊婦は、健康診断をご遠慮くださいと
 案内される場合もあります。
 

 授乳婦

 健康診断を受けることができます。
 ただし診断で下剤を服用した場合、赤ちゃんが下痢をしてしまう場合もあるため
 受診した医療機関によっては「24時間以内の授乳を避けてください。」
 「24時間授乳をやめられない場合は薬剤を服用する検査は受けられません。」
 という案内がされることがあります。
 
 また、授乳中はマンモグラフィ検査を勧められないことが多いです。
 これは、授乳中は乳腺が乳腺が発達し、マンモグラフィの検査結果の精度が落ちることが理由です。
 

 後期高齢者(75歳以上)

 75歳以上の高齢者は健康診断ではなく、「後期高齢者健康診査」というものを受診します。
 後期高齢者医療制度という75歳以上の方の健康づくりについて定めた法律に基づいたものです。
 受ける項目は一般健康診断とあまり変わりませんが、一般健康診断より少し項目が少ない傾向があるようです。
 聴力、視力など、高齢化にともない自然に衰えてくる項目の測定をしないところが多いようです。
  

 病気の人

 既に病院に通っている場合は、通っている病院の医師に健康診断の受診について相談をしてから受けましょう。
 受けないほうが良いケースや、検査内容が重複していることもあります。
 
 

未受診者は年間3,000万人

 
労働者(会社員のみ)の受診率が80%台であることを考えると
3000万人という数字の内訳は、自営業や主婦などが多いと思われます。
 
住んでいる地域によって異なりますが、歯科健診が無料で受けられたり、特定の年齢でがん検診が無料で受けられたり
自治体独自で様々な取り組みを通じて住民の健康増進に取り組んでいます。
1年に1回でも、自分の住んでいる自治体のWEBサイトへアクセスし「各種健康診断」「健康・福祉」「健康・医療」などのページを確認しましょう。
誕生月に確認する、毎年1月、4月など決めた時に見る、など自分の中でルールを決めるのがおすすめです。
 
参考文献
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/anzen/kenkou07/j1.html
労働安全衛生規則
労働安全衛生法
 
※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。