お・も・て・な・し から学ぶ日本の心 ~和食~

2013/12/24 掲載

2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定し、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
日本は世界からますます注目を集めています。

 

しかしながら、当の本人である私達は、「日本らしさ」を感じる機会が少なくなりつつある気がします。

昔に比べてどこでも容易に食べ物を購入出来る時代になりましたが、そんな環境にいながら、普段、和食を意識する瞬間ってどれくらいあるのでしょうか?

当たり前になっている食事に、とても大切な意味がある事を忘れかけてはいないでしょうか?

 

今回は「和食」をキーワードに、日本の文化について再度見つめ直してみたいと思います。

 

和食を構成する4つの要素

無形文化遺産へ登録申請している和食の特徴を下記にまとめました。

 

1)新鮮で多様な食材とその持ち味の尊重

 各地で地域に根差した多様な食材

 素材の味わいを活かす調理技術・調理道具の発達

 

2)栄養バランスに優れた健康的な食生活

 一汁三菜を基本とする日本の食事スタイル
 うま味を上手に使う食生活

 

3)自然の美しさや季節の移ろいの表現

 季節に合った調度品や器などを利用して、季節感を楽しむ

 

4)正月行事などの年中行事との密接な関わり

 自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで家族や地域の絆を深める

 

 

つまり、「和食」というと、何だか「寿司」や「てんぷら」といった個別の料理をイメージしてしまいがちですが、今回の申請では、料理そのものではなく、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」と、和食を位置付けています。

これが「和食;日本人の伝統的な食文化」として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

この文化が世界に高く評価された事がうかがえますね。

おもてなしとサービスの違い

2013年のユーキャン新語流行語大賞にも選ばれた「おもてなし」という言葉。

日本人の伝統精神を象徴するかのような言葉ですが、「相手のために尽くす」といった点では、似たような意味の「サービス」という言葉があります。

 

この「サービス」と「おもてなし」は一体どんな違いがあるのでしょうか?

似たような意味ですが、「おもてなし」からは、何か奥ゆかしさを感じませんか?

これが、自然と受け継がれている日本の文化なのではないかと私は思います。

 

こういった、人と人との関係を大切にしていきたいといった「おもてなし」の精神が、世界的に評価されている事なのではないでしょうか。

こういった日本の文化が形となったものが「和食」として、世界に評価されたのだと思います。

 

食事で育む豊かな人間性

食事というと、カロリーや栄養素ばかりが気になってしまいますが、生涯にわたって大切な心とからだを育むという重要な役割がある事をついつい忘れがちになっていませんか?

 

「和食」が無形文化遺産登録された事により、それを守るための継続的な取り組みが必要となります。
この登録を契機として本来の和食のあり方を再度見つめ直し、食文化を次世代へ継承していきたいですね。
食事とは、お皿の上にあるものが全てではありません。

その食事を取り巻く環境、用意する人の心、そして感謝の気持ち。見えるモノと見えないコト。
全てが揃って、食事になるのではないでしょうか。

 

お腹が空いたから食べる。といった事だけではなく、こういった事を意識すると、普段の食事も美味しさがグッと増すような気がしますね。

 

 

 

参考文献 農林水産省HP

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。