牛乳は飲まない方がいい!?~牛乳の気になる噂のウソ・ホント~

2014/07/15 掲載

「牛乳を飲むと体内のカルシウム量が減る」、「牛乳は消化されにくい」、「発ガンリスクが高まる」、牛乳に関するこんな噂を耳にしたことはありませんか?

実際に「牛乳はからだに悪い」と信じてしまっている方もいらっしゃるようです。

というわけで、今回はこの噂の真相について検証してみたいと思います。

 

牛乳の栄養について

1.カルシウム

ナトリウムを含んでいる牛乳を飲むと、体内のカルシウム量が減ってしまうという噂がありますが、心配はご無用です。

牛乳に含まれるカルシウムは100gあたり110㎎、ナトリウムは41㎎です。

確かに、ナトリウムは体内のカルシウムと結びついて排泄されるものですが、100gの牛乳を飲んだ場合ではナトリウムにより排泄されるカルシウムは0.7㎎のみ。

骨の健康が気になる方は、ぜひ牛乳などの乳製品を日々積極的にとることで、カルシウムの補給をされることをおすすめします。

また塩分のとり過ぎが気になる方は、減塩を意識することだけでなく牛乳などのカルシウムを多く含む食品を積極的に摂取することも、体内のナトリウムを減らす手段となるので覚えておきましょう。

 

2.たんぱく質

牛乳には100gあたり3.3gのたんぱく質が含まれますが、その約8割はカゼインと呼ばれる特殊なたんぱく質です。

カゼインは、胃の中に入ると胃酸やペプシンなどの酵素によりヨーグルト状に固まり、その後ゆっくりと分解(消化)されていきます。

一度固まるということで消化されにくいと誤解を受けやすいのですが、決して消化されにくくなるわけではありません。

通常の水分より胃の中に留まる時間が長い分、腹もちの良い食品と言えますので、ダイエット中の間食予防にも役立ちますね。

また、カゼインはカルシウムと結びつきやすく、体内でのカルシウム吸収を助ける作用も持っています。

 

3.脂質

牛乳に含まれる脂質100gあたり3.8g。

そしてその種類は動物性脂肪ですので、とり過ぎてしまえばもちろん脂質異常症などの生活習慣病の原因となります。

ですが、最近では低脂肪や無脂肪タイプのものがどこでも手に入るようになりました。

低脂肪タイプの牛乳(正しくは加工乳)は、脂質は1/3以下に抑えられていますが、普通牛乳よりも多くのたんぱく質やカルシウムが含まれており、価格は若干リーズナブルなものが多いものです。

牛乳を選ぶ時は、健康にもお財布にも優しい低脂肪乳をぜひ選ぶようにしたいですね。

 

気になる発がんリスクは?

「牛乳を飲むと発ガンリスクが高まる」という噂は、欧米で書かれた書籍の翻訳本が日本でも話題となって広がっているようでうす。

確かに、アメリカでは牛乳の生産効率を上げるために乳牛に「成長ホルモン」を利用することが認められており、乳がんや前立腺がんの増加に関わっていると言われています。

ですが、日本では関係法規により乳牛への「成長ホルモン」の利用は禁止されています。

もしもこの先、外国産の牛乳が日本に出回るようになったとしても、国産の牛乳を選ぶことでリスクは回避できますね。

 

高温殺菌すると栄養価が落ちる?

牛乳の殺菌温度について 「高温で殺菌された牛乳は栄養価が落ちている」という噂もありますが、これも間違いです。

高温殺菌された牛乳でも栄養価やその吸収率が悪くなるということはありません。

牛乳を低温殺菌することのメリットは、牧場などで飲む生乳により近い風味が保てること。

ですが、殺菌効果については、もちろん高温殺菌の方が効果は高く、安全な状態で飲める期間が長くなります。

 

牛乳などの乳製品は、健康増進に効果的!

さまざまな噂が飛び交い気になるところもありますが、現状ではWHOでも日本栄養士会でも、牛乳の安全性についての指摘はなく、WHOでは「カルシウムの最良の補給源は牛乳、乳製品である」と明確に記しています。

 

牛乳は、カルシウムやビタミンB群など多くの栄養素含んでおり、コップ1杯の牛乳を日々の食生活に取り入れることで不足しがちな栄養を幅広くカバーすることに役立つことは間違いありません。

特にカルシウムは日本人に不足している代表的な栄養素で、高齢期の骨粗しょう症予防や骨折の予防に大きく関わるものです。

成長期から20代の方は「最大骨量を高めるために」、

それ以降の方は「骨量の減少をできるだけ緩やかにするために」、

カルシウムの積極的な摂取を意識していく必要があるのです。

そして、カルシウムは牛乳や乳製品の他、小魚・青菜・大豆製品などに豊富にも含まれていますが、体内での吸収率は乳製品に優るものはありません。

日々の健康のため、そして将来の骨粗しょう症予防のために、ぜひ牛乳などの乳製品を食生活に適度に取り入れていきましょう。

 

 

参考資料:

日本食品標準成分表1010

厚生労働省 日本食品標準成分表2010

学校給食における牛乳摂取の意義(一般社団法人Jミルク)

公益法人日本栄養士会ホームページ