歯は20年かけて抜けていく?出血・痛みが始まる前に歯周病対策!
2016/03/08 掲載
ご当地、お取り寄せ、高級…グルメにも多くの分野が存在し、食べることが何より楽しみ!というみなさん。これからもずっと食を楽しみたい!当然できるはず、とお考えのことでしょう。
ところが、これはそう簡単なことではありません。美味しく食べるために何より大切なことと言えば、歯や口まわりの健康ですが、年齢とともに歯周病などのトラブルが増えやすいもの。
また、健康なからだをつくるためには、「栄養・運動・休養」のバランスが欠かせません。その「栄養」を体内に取り入れるためにも、「健口」を維持することがとても重要なのです。 今回は、今も老後もずっと美食を楽しむために、ぜひ今から取り組んで頂きたい健口習慣をご紹介します。
(歯周病の脅威については、過去のコラム「糖尿病だけじゃない!?全身に影響を及ぼす「歯周病」の脅威」をご参照ください)。
歯の本数と食生活
食生活を充実させるためには、噛んだり飲み込んだりするための「健康な歯・顎や口まわりの筋力、正常な嚥下反射(えんげ反射:安全に飲み込むための反射)」などが必要です。
これらの中で、特に若いうちからのケアが重要となるのが「歯」。歯の本数と食べられる食材には大きな関連があります。日本人が大好きな焼き肉や唐揚げ、豚かつなどを心おきなく味わうためには、親知らずを除く28本中やはり20本程度の歯は必要と考えられます。もちろん、適切に管理された入れ歯があれば別ですが、できるだけ自分の歯を失わないよう、しっかりケアをしていきたいものです。
また、噛みごたえのあるものをよく噛んで食べることは、食べ過ぎ予防の大切なポイント。歯の本数は、メタボ対策や生活習慣病予防の成果にも当然関わってくるのです。
現在では「8020運動」(歯周病コラムリンク)がよく知られるようになり、2011年の調査では「8020」達成者が3人に1人以上という過去最高の割合となりました。ですが、高齢者人口は急速に増え続けているため、非達成者の絶対数も推計で約1000万人と増えているのが実情です。
歯を失うピークは歯周病末期となる50~60代
歯の本数が減る原因としては、「歯周病」と「虫歯」が全体の3/4を占めています。
(全国抜歯原因調査)
つまり、食の楽しみを維持するためには、虫歯や歯周病の予防・治療に適切に行っていくことが何より重要ということになりますね。虫歯が原因の抜歯は20代から70代まで大きく変わらない本数となっていますが、歯周病が原因となる抜歯は40代以降大きく増加しています。
歯周病って?
歯周病という言葉はよく耳にしますが、若い方ににとっては未知の世界かも知れませんので、簡単にご説明しましょう。 具体的な症状は、歯ぐきの腫れや出血、口臭、歯槽膿漏(歯ぐきから膿が出る)などで、進行すると歯を支える骨が溶け、歯を失う原因となります。大人の病気と思われがちですが、実は10代から少しづつ進行し始める方も多く、20年数年の歳月をかけてジワジワと歯や歯ぐきを冒します。 そして歯ぐきからの出血という自覚症状が出始めやすいのが、30~40代。40代以降の方で歯周病による抜歯本数が増加しているデータともつじつまが合いますね。
生涯グルメを楽しむために必須の健口習慣はこれ!
歯を失う原因がわかったところで、その予防法についてご紹介します。
1. 甘いものは時間を決めて食べ、食べたら歯を磨く
(歯につきやすい菓子類には特に注意)
2. 歯磨きは入念に!
(歯ブラシでの適切に磨く・デンタルフロスや歯間ブラシでの歯間清掃も行う)
3. 歯科で定期的なケアを行う
(セルフケアでは取り除けない歯垢や歯石を除去してもらう)
その他、歯周病のリスクファクターの一つとされる喫煙をやめること、フッ化物での予防も有効です。 また、だ液には口の中を虫歯から守るがあるため、だ液の分泌を良くしておくことも虫歯予防には有効です。 だ液は主に耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つから分泌されますので、歯を磨きたいのに磨けない!という時は、一番わかりやすいだ液腺である耳下腺を軽くマッサージして、唾液の分泌を促しておきましょう。
今回は歯の本数を減る原因や歯周病対策が中心でしたが、生涯「食」を楽しみ健康に過ごすためには、高齢期に衰えやすくなる口まわりの筋力や正常な飲みこみ反射(えんげ反射)を維持することも欠かせません。これらを含めた対策ができれば、低栄養や肺炎を予防に役立ち健康寿命を延ばすことにもつながるでしょう。また今後のコラムでご紹介させて頂きますのでお楽しみに。
参考文献:
平成23年歯科疾患実態調査(厚生労働省)
平成17年永久歯の抜歯原因調査 報告書(財団法人 8020推進財団)
財団法人 8020推進財団ホームページ