どれくらいが適量?水分摂取の重要性

2012/03/29 掲載

サッカーを観ていると、選手がピッチの横においてあるボトルから水を飲んでいるのをみた事はありませんか?マラソンでは、水分摂取ポイントがありますよね?試合やトレーニングで大量に発汗するアスリートにとって重要な水分摂取ですが私達にとっても、大切なことなのです。

 

栄養に気をつけるように、
水分摂取量も気にしましょう

ヒトと水分

成人では、体重の50~70%が水分を占めています。ヒトは生まれてから加齢によって、体内水分量が減少していきます。新生児では70~80%だったものが高齢者では50%程度まで減少します。水は体内でさまざまな役割をしていますが、おおまかには体温調節と不要な物質の排泄、血液として栄養素を全身に運ぶために重要な物質です。ヒトは一日2~2.5Lの水分を損失していて、水分を外から摂取しなければ生きていけません。しかし栄養バランスには気をつけていても、水分摂取はあまり気にしていないという方は多いのではないでしょうか?

運動直後の体重減は、水が失われただけ?!

ダイエットや健康づくりのため運動をしている方、運動するとき意識的に水分摂取していますか?
特に秋や冬場は運動しても真夏ほど汗かかないから大丈夫と思っていませんか?いえいえ、真夏以外のシーズンこそ安全に楽しく運動するために、水分摂取を意識しなければいけないのです。

「運動直後に体重を計ったら○kgも減ってたよ!やせた~!運動ってすごいね~!」なんて声をよく聞くことがありますが…残念ながらその減少量はほとんどが体水分の減少量で注意すべきことなのです。

運動前後の体重減少量が2~3%以上になると、運動能力が低下し、さらにひどい場合には体温調節がうまくできずに熱中症に陥る恐れもあります。冬は夏と比較して乾燥していて汗が蒸発しやすいので、自分では汗をかいているという自覚が少なくなります。この状況は運動による脱水症状を起こし得るのです。

運動で脱水傾向になっていないかどうかをチェックするには、運動の直前・直後に体重を測定することが重要。一度測ってみて自分の水分摂取量の見直しをしましょう。
このときの体重測定のポイントは2つです。

 ■運動前後で同じ服装で体重をはかること
 ■運動後の測定時はしっかり汗をふいて体重をはかること

例えば、運動前50kgの人の場合、運動後の体重が運動を始める直前の体重よりも3%減少した48.5kg以下であるなら、水分摂取が足りなかったと考えることができます。とても簡単な方法ですのでぜひ一度お試し下さい!

運動時にふさわしい水分摂取の方法とは?

水分は一度にたくさん飲んでも吸収されにくいので、こまめな水分補給が重要です。運動の種類や環境温度にもよりますが、運動前・運動中は20~30分ごと・運動後に水分補給をしましょう。屋外でウォーキングやジョギングをされていらっしゃる方も途中でウォーターブレイクを作る事をおすすめします。

飲み物の種類ですが、短時間のウォーキングやジョギングなどのスポーツでは水でも構いません。
しかし汗中にはミネラルであるナトリウムやカリウムなどの成分が含まれており、大量に汗をかく場合には水だけを摂取すると、これらの成分がさらに体内で薄まってしまい、低ナトリウム血症という危険な症状を引き起こしてしまうこともあります。激しい運動をする場合は、体液の材料も含まれているスポーツドリンクなどミネラルや糖質も摂取できる飲料を飲みましょう。

日常生活と水分摂取

水分摂取

ヒトは運動など活動を何もしていなくても、体水分を損失しています。食事以外ではあまり飲まないという方もいるのでは?特に冬は夏よりも何か飲みたいと感じることが少なく、あまり飲んでいないのではないでしょうか?体水分の損失が体重の2%を超えると喉の渇きを感じるとされ、高齢者では渇きを感じにくくなると報告されています。上記に示したように、発汗による体重減少量は2~3%以下に抑えることが大切ですので、喉の渇きを感じる前に水分を摂取する習慣をつけましょう。

また入浴や睡眠中にも汗をかくので、前後に水分摂取をしましょう。
水分をこまめに摂取することで、便秘予防、循環血液量の維持、そして食べすぎ予防にも効果があります。食事どきに水分を一緒に摂取することで、満腹感になりやすく食べすぎを予防できます。冷たい物よりもお湯や温かいお茶の方が効果は高いようです。食事にお味噌汁やスープなどの汁ものを加えることでも同様の効果があります。

からだの乾燥を内側から防ぐ

女性にとっては乾燥は大敵!私も乾燥がひどいと喉が痛くなったり、肌も髪もパサパサになるので、家でも会社でも加湿器が手放せません。しかし乾燥対策には、外からのケアだけでなく水分摂取も重要です。

また乾燥した環境では、喉や鼻の粘膜が乾燥して、風邪をひきやすくなったり、ウイルスに感染しやすくなってしまう可能性があるのです。そのため水分をしっかりとって、粘膜を潤すことが重要です。ビタミンC入りのドリンクや緑茶でカテキンも摂取すれば、さらに風邪予防効果が期待できます。また風邪で食欲がない場合でも水分はしっかり補いましょう。

運動時は20分から30分で給水、日常生活は温かい飲み物でからだもこころもぽかぽかにして、乾燥を防ぎましょう !

(参考資料:中井誠一ら:脱水・熱中症対策(水分補給を中心に).臨床スポーツ医学26:211-217,2009)

 



 

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