心もからだも成長中!乳幼児期の食のお悩み相談室

2016/10/11 掲載

乳幼児期の子どもがいらっしゃる方は、少なからず1つや2つ食についてお悩みをお持ちなのではないでしょうか?一難去って、また一難・・・。この時期の子どもの食の悩みは成長と共に解決するものや、逆に成長と共に出てくるものもあります。

そんなお悩みがある方に、少しでも解決の役に立てるよう、子どもの年代別に悩みが多い事項をQ&A方式でまとめてみました。

0歳のお悩み

Question

1. 食物アレルギーが心配!食物アレルギーの発症を予防することはできるの?

 

Anser※1

アレルギー

食物アレルギーが心配だから、その原因となる食物をあらかじめ取り除いて予防しようというアプローチは残念ながら成功していません。

現在、食物アレルギーは花粉症と同じく増加傾向にあります。それには何かしらの環境要因が働いていると言われていますが、最も注目されているのは、「衛生仮説」というもの。生活環境がキレイになりすぎて、アレルギー性疾患を増加させているという説です。

 

それ以外にも、妊婦や母親の喫煙や副流煙の影響、魚介類の摂取量の減少など多くの候補があげられており、現在研究が進められています。
また、乳幼児期にできた湿疹の部分からアレルゲンが体内に入り、アレルギーになってしまうという「経皮感作」も注目されており、湿疹の積極的な治療が推奨されています。

 

 

Question

2. 離乳食の開始時期を遅らせた方がアレルギーにならないの?

 

Anser※1

乳児は消化機能が未熟なため、離乳食の開始時期を遅らせると未消化なまま食物が吸収されなくなり、アレルギー性疾患の発症が予防できるという考えが比較的広く普及していますが、科学的根拠が不十分です。

母子ともに妊娠中から鶏卵とそれを含む加工食品を完全に取り除いても、初めて卵を食べた時にアレルギーを起こしたという事例もまれではありません。2007年に厚生労働省から出された「授乳・離乳の支援ガイド」では離乳食の開始時期は生後5~6ヶ月頃を適当としています。

 

 

Question

3. 離乳食の進め方のポイントは?

 

Anser※2

離乳食

5~6ヶ月は1日1~2回、ポタージュ状のものを1日1さじから少しずつ進めます。

7~8ヶ月は1日2回、豆腐くらい舌でつぶせる固さのものを与えます。

9~11ヶ月は1日3回、バナナくらいの歯ぐきでつぶせる固さのものを与えます。

1歳~1歳半は1日3回、肉だんごくらいの歯ぐきで噛める固さのものを与えます。

 

ここで大切なことは、これはあくまで目安だということです。

1日の食事回数については、月齢で進めてもよいのですが、固さについては1人1人歯の生え方や咀しゃくの発達が異なります。子どもの様子を見ながら進め、食べなくなったら1つ前の固さに戻るなど一進一退を繰り返しながら、焦らず進めていくようにしましょう。また、固さに問題がなくても授乳が多かったり、お腹がすいていなくて離乳食を食べないという場合もありますので、順調に進まない場合は何が原因かを探ってみてください。

 

 

1歳のお悩み

Question

1. 手づかみ食べはさせた方がよいの?

 

離乳食

Anser※2

答えはYES!手づかみ食べは「自分で食べたい」という気持ちの表れ。成長の証でもあります。食べ物をつかんで手で運び、前歯でかじりとることで、一口で食べられる量を覚えます。

自分に合う一口の量をしっかり噛んで上手に飲み込むことができ、スプーンやフォークを上手に使うための練習にもなります。

手や口が汚れたり、たくさん食べこぼしたりするけれど、今は食べる練習をする時期。

少しでもストレスを減らすために、あらかじめ汚されてもいいように新聞を敷いておいたり環境を工夫して、子どもが思いっきりできるようにしてあげましょう。

 

Question

2. そろそろ生活リズムを整えたいけど、何から始めたらよい?

時計

 

Anser

まずは、朝7~8時頃までの決まった時間に起こすことから始めましょう。日中(特に午前中)に外で散歩したり、公園で遊んだりして体をたくさん使います。

昼寝は15時くらいまでに切り上げ、夜の睡眠に影響がないようにします。夜寝かせる時間は21時くらいを目安にしましょう。そして、その間にある食事のリズムというのも生活リズムを調える上でとても大切です。

食事のリズムを作る時に一番大切にしたいことは「お腹がすくリズム」を作ること。子どもは食べたものを消化するのに2~3時間かかるので、食事と食事の間は必ず2時間以上はあけるようにします。「空腹は最高の調味料」というように、お腹がすいていると子どもはすんなり食事を食べてくれます。

また、中々食べてくれないからと食事時間を1時間も2時間も取っていると、次の食事の時にはお腹がすいていないということもあり、1回の食事は30分くらいで区切るようにすることもおすすめです。

 

 

Question

3. 卒乳、断乳のタイミングって?

 

Anser※3

これは各家庭、特にお母さんの事情や考え方によるところが大きいと思います。授乳は栄養面だけでなく、コミュニケーションという部分がとても大きいからです。

ただ「虫歯」という観点からは、乳歯が多く生えてくる前に卒乳した方がよいと言われています。特に問題となるのが就寝時や夜中の授乳なので、卒乳しないままでも1歳を過ぎたら、この時間の授乳をやめるなどが虫歯予防には効果的です。

 

 

 

2歳のお悩み

Question

1. 虫歯にならないために歯みがき以外で何か取り組んだ方がいいことはある?

 

Anser

歯みがき

離乳食も終わり、幼児食へ移行し、食べられるものも少しずつ増えてくるこの時期。2歳のイヤイヤ期と重なって、歯磨きを嫌がる子も多いのではないでしょうか?もちろん虫歯にならないために歯みがきをすることはとても重要です。でも、歯みがきさえしていれば虫歯は予防できるというわけではありません。

実は、虫歯予防に一番効果的なことは「口に食べ物や飲み物が入る回数を減らす」こと。そのためには食事の規則正しいリズムがとても大切です。授乳や甘い飲み物も回数に入ります。

1日6回以上食べ物や飲み物が口に入る回数がある場合は要注意です。それ以下に減らせるように食事のリズムをととのえてあげましょう。

 

 

3歳のお悩み

Question

1. 間食(おやつ)の適量ってどのくらい?

間食

 

Anser※4

3歳までの間食は1日に必要なエネルギー量の約10~15%(約100~150kcal)が目安となります。3歳以降の間食は1日に必要な主食の約10~15%(約140~240kcal)が目安となります。回数と時間は1日1回(15時頃がよい)で20~30分くらいで済ませられるとよいです。特に何かをしながら食べるなどのダラダラ食べは適量や時間を超えてしまうことが多く、虫歯予防の観点からも避けたい食べ方です。

 

 

 

今回8つの質問に絞ってみましたが、それ以外にも過食、小食、好き嫌い、ムラ食い、遊び食べ、食具の進め方など悩みは尽きません。そんな食の悩みですが、実は「生活リズム」というのが1つのカギを握っています。

できるだけ早い時期に生活リズムをととのえ、空腹感を味わわせてあげることによって解決できる問題が多くあります。まずは生活リズムを見直して、みんなが楽しい食事タイムを過ごせるようになることを祈っています!

 

 

(参考文献)
※1 よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014  独立行政法人 環境再生保全機構
※2 「健やか親子21」授乳・離乳の支援ガイド(H19.3.14)  厚生労働省
※3 Eヘルスネット 厚生労働省
※4 一般社団法人 日本小児歯科学会HP

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。