あなたは大丈夫?知らないうちに「未病」に?!

2017/01/24 掲載

最近、「未病」と言う言葉をあちこちで耳にするという方も多いのではないでしょうか?某漢方薬のCMがその一因の様に思われがちですが、どうもそれだけではないようです。

 

この言葉は、中国医学の古典に起源を発する言葉だそうで、元々は病気を発症する前に治してしまうことを意味しているそうです。今回は、「未病」についてお話したいと思います。

「未病」ってなに?

「未病」は「健康から病気へ向かっている状態」として、日本未病システム学会で、以下の様に定義しています。

 

 1. 検査値に異常はないが、自覚症状がある場合 

 2. 自覚症状はないが、検査値に異常がある場合

 

これを図示すると以下のようになります。(図1)

 

<図1>未病の概念

未病の概念

日本未病システム学会「未病とは」より改変して作図 (作図:タニタ)           

 

さて、ここで賢明な読者の皆様は「自覚症状」・「検査結果異常」の有無が鍵になっていることに気が付かれたと思います。

 

例えば、これが「風邪」等の一般的な疾病であれば、「寒気がする」「のどが痛い」等の自覚症状があるので、引き始めを察知し、軽症の内に対応する事が可能です。

 

生活習慣病も「未病」?

それでは、これが「生活習慣病」の場合は、どうでしょうか?

 

そもそも「生活習慣病」自体が特定の疾病を示すものではなく、食生活や運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣によって引き起こされる病気の総称です。(図2)

生活習慣病に関連する病気として、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、肥満などの病気が挙げられます。

以前、これらの病気は、加齢とともに発症すると考えられていたため、成人病と呼ばれていました。

 

むしろ、上記疾病を起こす原因となり得る各種生活習慣の悪化に起因する色々な症状(自覚・検査値)の総称と言う方が正しいでしょう。

 

<図2>生活習慣病のイメージ

生活習慣病のイメージ

政府広報オンラインより           

日々の計測習慣が大切!

ここでは「血圧」を例にお話ししましょう。

 

血圧は一般に「最高血圧が130を超えたら高血圧」と言われますが、そもそも血圧は四六時中、要は時間・環境や気分によって変わることをご存知でしょうか?以下に示すように「入浴」と言う日常行為の中でもこのように変化します。(図3)

 

<図3>

入浴中の血圧の変化

 

また、1日の生活の中でも緩やかに変化しています。(図4)

 

<図4>

1日の血圧の変化

一般財団法人 北海道心臓協会HPより           

 

その他にも、測定前に動き回る・何らかのトラブルがあった・仕事上のストレス…と言った測定時の条件や心理的要因でも変わります。

これでは、単に「最高血圧が130を超えた・超えない」で一喜一憂しても、あまり意味がありませんね。では、どうしたら良いのでしょうか?

 

上記で述べた通り、「未病」には、自覚症状を伴わない事例が多く見受けられます。また、「血圧」の例でも述べたように「徐々に」「急に」「条件次第で」と状態が変化することに伴い変化します。

しかし、気が付かないうちに、そのまま重篤な状態に陥ることだけは避けなければいけません。さて、その為にはどうしたら良いのでしょうか?

 

それは、自分自身のからだの変調を日々の計測習慣から把握し、気付く(客観的数値により自覚する)習慣を付ける事が大切であり、必要となります。

その為には、重篤な病を引き起こす可能性が高い様々な「体調項目(血圧・血糖・尿糖など)」を日々測定し、その結果を確認しながら日常生活を送ることが出来る状態が理想的と言えるでしょう。そして、それらの項目の変化を常に注視しましょう。

 

生活習慣病は、風邪等の病と違い、急な発症や症状の悪化がありません。

 

ですから、その数値が徐々に変化してきている様であれば、体の中で何らかの変化が生じている証拠です。

前述の通り、血圧の例でも言えますが、最高血圧が130を超えるか否かが判断基準ではなく、日々測定している血圧値の変化が生じたか否かが判断基準です。

仮に血圧が徐々に上がる傾向が見られたら、至急精密検査を受診する事をお勧めします。他の項目も同様です。日々の計測習慣を付けましょう。

 

「未病」を日ごろから意識しましょう

この様な事は、生活習慣病以外にも言えます。例えば、今社会問題となっている高齢者の介護ですが、介護が必要となる原因の第3位が「高齢による衰弱(13.4%)」、第4位が「転倒・骨折(11.8%)」です。(図5)

 

<図5>介護が必要になった主な要因

介護が必要になった主な要因

厚生労働省 「国民生活基礎調査」平成25年より作図 (作図:タニタ)          

 

これは、高齢化に伴う筋力の低下、特に下肢筋力の低下がその要因と考えられます。

 

タニタでは、この様な高齢者の下肢筋力の低下を測定する商品として「下肢筋バランス計(zaRitz)」を開発しました。ご存知の通り、日本は、諸外国と比べて急速に少子高齢化が進んでいます。 よって、高齢者が一日でも長く健康で暮らせることが、即ち、健康寿命の増進や医療費の削減に直結します。

 

「未病」を意識しながら日々の健康状態に気を配り、今後来るであろう「超高齢化社会」に備え、健康長寿を達成されることを強く希望します。

 

【図表の出典】

図1 日本未病システム学会 「未病とは」より (作図:タニタ)

          https://www.j-mibyou.or.jp/mibyotowa.htm

図2 政府広報オンライン 「生活習慣病の予防と早期発見のために」より

          http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201402/1.html

図3 九州芸工大 栃原教授(医学博士)資料より

図4 一般財団法人 北海道心臓協会 「血圧の日内変動」より

          http://www.aurora-net.or.jp/life/heart/freeillust/b12.html

図5 厚生労働省 「要介護度別にみた介護が必要となった主な原因の構成割合」(厚生労働省「国民生活基礎調査」平成25年)より (作図:タニタ)

          http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h25.pdf

  

 

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。