育児のストレスフリー化「毎日できる3つのこと」

2017/04/11 掲載

ファミリー(イメージ)

「子育ては本当にタイヘン!」というお母さんの声を聞くと切なくなりますね。お母さんのツライ顔を見ていると、お父さんまでブルーな気持ちになってしまう、という声もあります。

“親が子どもを愛するのは当然”という空気が漂う中で、親自身が子育てへの否定的な思いを、外に向けて言葉や態度で表わすのは、とても勇気がいることであり、 胸に秘めている人も多いのではないでしょうか。事実、文科省の調査によると、 4割弱の父母が子育てに悩みや不安を抱えているとのことです。
(※1)


 

子育てについての悩みや不安

子どもが大きくなった時に、「子育てのせいで○○できなかった」と子どもを責めないためにも、子育てのストレス対策は必要です。

本当に大切なポイントだけをきちんとおさえ、 楽しく子育てしていくコツを工夫したいものです。親が子育ての楽しみを見つけることは、 現在の子どもだけではなく、未来の子どもにも良い影響を与えます。

その親らしく、 その子らしく、その家族らしく歩んでいけたらどんなによいでしょう。
ここでは、そんなストレスフリーな育児を実現する考え方を3つお伝えします。
(図表※1)


1.「無駄な叱りすぎ」を効率よく防止しよう!

「何回言ったらわかるの!」「さっき言ったでしょ!」「こんな簡単なこと、どうしてできないの!」
何度言い聞かせても行動が変わらない子どもを見ると、『子どもをほめて伸ばすといい』という話をいくら聞いても、そんな元気が出なくなること、ありますよね。

子どもに注意する時、突然大声で厳しい言葉をぶつけると、伝えた方はエネルギー発散してスッキリ。そんなことも時にはあるかもしれませんが、親からの言葉による攻撃は、身体的虐待を受けるよりも悪影響が大きいというデータが出ています。また最近の研究で、言葉による攻撃は、子どもの脳に影響を残す可能性があることが分かってきました。
(※2)

イラッとした時には、深呼吸して、愛情ある適切な対応法がとれるように、日頃から対策を考えておきましょう。
子どもによい習慣を定着させることを目標に、「おだやかな声かけで思い出させ、実行させてほめる」という形をできるだけ多く作っていきたいものです。


<叱り過ぎを防止するワンポイント法>

してほしくない行動を強く叱り過ぎない

子どもは悪い行動で注意をされると、関心を向けられて嬉しいと感じ、同じ行動を繰り返してしまうことがあります。 「してほしくない行動」については、強く叱るのではなく、おだやかに冷静に伝えた方が子どもの心に伝わる効果があります。 (※緊急時は必要なこともあります)


してほしい行動をほめる

子どもへの指示内容は、できるだけ具体的、かつ単純であることがポイントです。 「○○を残さず食べる」「食べた後のお皿を片づける」「自分の靴をそろえる」「テレビを消す」など、小分けにして指示を出すと 、一つひとつの達成がしやすくなります。 うまくできた場合には、がんばって取り組めたことをほめましょう。そうすることで、 『こうすると親に喜ばれる、いいことをやっている』という意識が少しずつ定着していきます。


予告する、警告する、責任を取らせる

例えば、子どもが寝る前に本を読んでほしいという場合、「早くお風呂に入らないと寝る前に本は読めないよ」と予告します。 それでもお風呂に入らないと言うなら、「今お風呂に入らないと、寝る前に本は読めないからね」と警告します。 それでもぐずぐずしていてお風呂に入るのが寝る前になり、本を読む時間がなくなったら、 『本を読んでもらう』という楽しみを我慢させ、責任を取らせます。

(※3)

2.子育てパートナーを見つけよう!

地域におけるつながりの希薄化

子どもはかわいいものの、親の心も体も疲れてしまう時があります。そんな時、支えになってくれる人が必要ですが、子育ての悩みを相談する相手がいない人が73.8%という調査結果が出ています。

また、現在約3割の男性が「育児休業を取得したい」と希望している一方で、実際の取得率は2.65%です。また、日本の男性が家事・育児をする時間は、他の先進国と比べて最低水準。子どもを持つことや妻の就業維持に対して、悪影響を及ぼしているのは無理もないことです。

厚生労働省では、男性の育児休業取得率を現状の2.65%から2017年度には10%に、2020年度には13%に上げることなどを目標に掲げ、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)の実現に取り組んでいます。
(※4)

どうしてもお父さんの協力が得られない時には祖父母や親せきに、そのサポートが十分でない時には近所や行政、また地域のサークルなどにサポートを依頼してみるのもよいでしょう。ママ友同士の交流が盛んですが、最近はお父さん方からも『パパ友』がいると、一緒に大変さが分かち合えたり、お母さんや子どもの気持ちがよくわかったという声もよく聞くようになりました

子育てを自分だけで抱え込まず、声をあげること、相談することが何より大切です。子育てには日々のお父さんとお母さんの笑顔が一番です。
(図表※1)


3.「親の強み」を生かした子育てをしよう!

子供とスポーツ(イメージ)

時代や環境の変化にともない、お父さんとお母さんの強みを生かしたオリジナルな子育てを実践されている方も増えてきているのではないでしょうか。

例えば、スポーツ好きなお父さんの影響で、お子さんがいろんなスポーツにチャレンジする機会が増えたり、読書好きなお母さんの影響を受けて、お子さんが本を好きになったり。

スポーツに関する研究の一つに、スポーツに対する大人の肯定的な行動や雰囲気は、子どもの肯定的価値や有能感、楽しさを生み出し、さらにスポーツへの参加や継続を促すことにつながるという研究結果があります。
(※5)

スポーツはもちろん、読書や音楽、料理など、親自身の「好き」「得意」と感じる強みを、ぜひこの機会にふり返ってみてください。子どものしつけとして日頃から教え育んでいることに加え、 自分ならではの強みを生かした『プラスアルファ』の部分を見つけ、子どもに機会を提供することで、子ども自身の新たな能力を開花させ、また、親自身が楽しく、 ゆったりとした気持ちで子どもと接することができるので、より良い親子関係の構築につながります。


不安やストレスが強くなる前にプロに相談を

不安やストレスが強くなる前にプロに相談を

「一日中子育てや家のことでドタバタ疲れていたはずが子どもの寝顔を見ると、まぁいいかと思えるんですよねぇ」という声を伺います。子どもがかわいいと思えるかどうか、最近笑っているかどうかも親の心の健康バロメーターの一つの目安になりますね。

もちろん、日頃から身近に相談できる人をつくっておくことが大切ですが、子育てへの不安やストレスが強くなる前にお近くの市役所や下記のような公的な相談機関や電話相談などもぜひご活用ください。



【参考文献】

  • ※1 文科省作成資料ホームページ ~子育てに対する不安の解消に向けて(2016.4.26)~ P1
    http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai7/siryou15.pdf
  • ※2 サイエンスポータル 科学技術振興機構 コラムオピニオン「児童虐待と癒されない傷」
    福井大学 子どものこころの発達研究センター 教授 友田明美 氏 (2017.3.28)
    https://scienceportal.jst.go.jp/columns/opinion/20130701_01.html
  • ※3 児童精神科医ママの子どもの心を育てるコツBOOK  児童精神科医 白尾直子 P52~59
  • ※4 厚労省ホームページ イクメンプロジェクト プロジェクトの背景
    https://ikumen-project.mhlw.go.jp/project/concept/
  • ※5 スポーツに参加する子どもの心理的発達に及ぼす大人の影響: その研究動向と今後の方向性 久崎孝浩・石山貴章1)応用障害心理学研究 第11号 2012年 P61
※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。