健康ときれいの敵!「むくみ」と上手につきあおう 【前編】
2012/04/05 掲載
健康ときれいの敵!「むくみ」と上手につきあおう
「むくみ」は“すっきりきれい”な“見栄え”をジャマするだけでなく身体に様々な不調を引き起こす健康とダイエットの敵!!です。「敵」に勝つにはまず「敵」の事をよく知るところから入りましょう。今回はこの「むくみ」の仕組みを解説致します。
ついつい冷えたビールや冷たい飲み物に手が伸びて、調子にのってたくさん飲んで寝た・・・
そうして翌朝、まぶたが腫れぼったく顔が膨らみ、自分の顔のあまりの見栄えの低下っぷりに「な、なんじゃこりゃー(((( ;゚д゚))))」と
焦ったことなんてありませんか?(私はよくあります・・・!)
あるいは、カロリー高いもの食べてないのに服のウエストがどうもキツくてお腹に食い込む感じ・・・そして全身だるくて重い、そんな日はありませんか?←こんな状況の時はあなたの身体に「むくみ」が起きている可能性が高いです。
そんなこと無い!という方でも、仕事の帰りに足がだるく重くなって、気づけば朝より太くなっているみたい、靴もキツい・・・ということは経験したことがあるのではないでしょうか。
「むくみ」は脂肪が蓄積して太ったわけではなく水分が過剰に溜まって「皮膚が膨らんでいる」状態で、多くは一時的なものです。対処をきちんとすればそれほど長く苦しめられること無く解消できるのですが、 「脂肪がついたわけじゃないのに太って見える!」という理不尽さ(笑)と見栄えの低下だけでなく身体の不調も引き起こすので実際太るより、もっとやっかいで嫌なものかもしれません。 この憎き「むくみ」、医学的にはどんな状況のことを言うのでしょうか。
「むくみ」のおきるしくみ
私達の身体には全身に動脈・静脈の二種類の血管とリンパ管が張り巡らされています。
心臓から「ドクン」と送り出された新鮮な血液は、動脈を通り各器官で組織間液となって全身の細胞に酸素や栄養を届けています。そして酸素や栄養を届け終わった組織間液は、次に二酸化炭素や老廃物を回収して静脈やリンパ管に入り心臓に戻ろうとするのですが、このとき静脈の働きが悪かったり、組織間液が過剰に貯留されていたりすると、回収しきれずに残ってしまった水分が溜まってしまいます。
「むくみ」とは、このように何らかの原因により静脈の働きが悪かったり、リンパ液がスムーズに流れなかったりする事で、回収されそびれた組織間液(余分な水分)が全身・または部分的にたまってしまうことによっておこるのです。
回収されなかった老廃物や水分が溜まっているのですからその部分(または全身)は膨張してふくらみ、血行が悪くなります。血行が悪いために倦怠感・疲労感も増します。これが「むくみ」です。「むくみ」がひどく長く続くような場合は深刻な病気が原因となっている場合がありますので医療機関で相談することをお勧めいたしますが、健康な人でも多くの人が経験し悩まされるのが生活習慣や食生活によって引き起こされる一時的な「むくみ」です。
次の章からは健康な人が悩まされる「一時的なむくみ」についてまとめてみました。
女性に出やすい「むくみ」
この「むくみ」、男女差があって、男性より女性に出やすいのです。なぜ女性に出やすいのでしょうか。
女性は周期的に変化する女性ホルモンの作用により月経1週間前くらいから月経中の時期は、血管が拡張し、尿量が減り、普段より水分を身体に溜め込もうとす るので、どうしても「むくみ」やすくなります。月経に向けての準備や妊娠した場合に備えて水分を貯めておこうとする働きだとも言われていますが、こればか りは女性である以上、ある程度仕方がありません。
そういえば、同じようにお酒を飲んでも次の日に「むくみ」が出る日と出ない日があるなぁ・・・と、思い当たることはありませんか?ひどくむくんでしまった 日はもしかしたら、月経前だったのかもしれません。(月経直前と月経中は酔いもまわりやすく体調も悪くなりがちなので、女性の方はこれからお酒を飲むとき に自分がどの時期なのか意識した方が良いですよ(^^)。)
また、女性は男性よりも筋肉が少ないので静脈血流を押し上げる力が不足しがちで(静脈やリンパの流れをスムーズにするのにも、筋肉の収縮運動が必要なのです)、あまり代謝が活発ではない皮下脂肪が多いので「冷え」による血行不良が起こりやすいのです。
こうした体組成の構成からも女性は男性よりも静脈血流が滞りやすく、「むくみ」やすい傾向が出てしまうのです。
「冷え」による「むくみ」
身体が冷えると血管が縮んで血行が悪くなるため、静脈での水分回収が鈍り、老廃物を処理しきれなくなって「むくみ」を引き起こします。
寒くても身体が活動していたり身体を温めるようなことをしていれば大丈夫なのですが、冷房の効いたオフィスで同じ姿勢でずっと座ったまま、あるいはあまり 動かず立ちっぱなし、というのは血行も悪くなりやすくてとっても「むくみ」やすい状況なのです。
帰宅する時に単なる疲れだけでなく脚がだるく重く、そのうえ朝はスラっとしていたはずの(?)脚が太くなっているように感じるのはこのためです。
塩分の摂りすぎによる「むくみ」
しょっぱい食べ物を食べると喉が渇きますよね。これは身体の自然な欲求で、塩分(=塩化ナトリウム)を摂取することで取り込まれたナトリウムの濃度を下げるために水分を取り込もうとしているのです。
ナトリウムはカリウムと共に、細胞内外の水分バランスの調節や、神経の伝達や筋肉の機能調節に働く大切なミネラルですが、不足することはほとんどなく、むしろ摂り過ぎが心配される成分です。
通常、水分はたくさん摂っても余った分はちゃんと尿として排出されるのですが、塩分を摂り過ぎナトリウムが過剰になると、身体の中に水分をため込もうとして余分な水分が排出されにくくなり、体重が増えて「むくみ」が出ます。
カロリーの高いものを食べていないのに体重が急に増えた、なんて時はもしかしたら塩分の摂り過ぎで水分が過剰に溜め込まれてしまって一時的に体重が増えているのかもしれません。塩分の摂り過ぎは血圧も上昇させてしまいますので要注意です。
お酒による「むくみ」→二日酔い
たくさんお酒を飲むと、まず「むくみ」が出て、次に「尿量増加」更に「脱水」&「頭痛(二日酔い)」という、「むくみ」&「脱水」&「頭痛」をガッツリ体験してしまう辛いフルコース(涙)をたどる人が多いようです。
アルコールの代謝についてはまだ解明されていないところも多いのですが、ビールやワインなどのお酒をたくさん飲むことによって「血中アルコール濃度上昇」 →「体温上昇・血管拡張」→「アルコール濃度を薄めようと血管に水分を取り込む」→「更に血管拡張」→「静脈やリンパによる処理が間に合わなくなる」→ 「むくみが出る」・・・のではないかと言われています。
飲み会の帰りに靴が履きづらかったり、翌朝顔がむくんで「なんじゃこりゃー」状態に腫れていたりするのはこのためです。そして更に時間が経過すると、次に アルコールを代謝するために水分がどんどん使われ、体外に大量に出てしまうため(トイレへ頻繁に行くようになりますよね)、逆に今度は水分が足りなくなっ て脱水状態になり、ひどい頭痛になったりします。この状態がいわゆる「二日酔い」と言われています。
こうなったら今度は水分をできるだけ補給して脱水を防がなければなりません。 アルコールはこのように水分の代謝に非常に大きな影響を与え、飲みすぎると「むくみ」や脱水を急激に引き起こします。夏場は、「冷えたビール」を「冷房の 効いた飲み屋さんで」「冷たくてしょっぱいものを食べながら」がんがん行ってしまったりするので・・・「むくみ」と「二日酔い」には絶好の(?)条件が 揃ってしまうわけです。
顔がむくんでしまうしくみ
顔がむくんでしまった!・・・と思うのは、いつも寝起きではありませんか?顔がむくんでいるというのは、顔の皮下組織にいつも より水分がたまってしまって膨張している状態なのですが、水分は高いところから低いところへ流れるので、通常は、身体の下の方にある部分(脚など)の方が 「むくみ」やすくてなかなか顔まで「むくみ」が出るような状況にはなりません。
しかし、夜は横になって寝ますので、通常下半身に溜まって脚の「むくみ」を引き起こす過剰な水分が寝ている間にどんどん上半身に流れ、顔や腕に溜まって膨張して行くのです。
朝起きたときに顔が膨らんでいてビックリするのはこのためです。特にまぶたがはれぼったくなるのは、まぶたの皮膚が薄くてたるんでいるために水分がたまりやすく膨張が目立つからなのですが、まぶたって顔の印象を大きく左右するので泣きたくなりますよね(;_;)。
さてさて・・・ここまで「健康な人でも悩まされる一時的なむくみ」についてまとめてみましたが、いかがでしょうか?
あなたにも思い当たるフシがあったりしませんか・・・?この理不尽な「むくみ」、仕組みがわかれば、事前に防ぐ方法も見えてきたかと思います。
次回はその「防衛策」や「むくんでしまった時にどう対処したら効率良く解消できるか」、「むくみに効く栄養素」・・・
などなどをまとめたいと思います。