クマとナポレオンの睡眠時間

2012/03/28 掲載

クマとナポレオンの睡眠時間

布団から出るのが寒い…朝起きるときに気合が必要になる季節には、このまま寝ていたい気持ちとの闘いです。
そういえば最近脂肪の蓄えも増えたような気もする…いっそこのまま冬眠してみたい・・・そんな気持ちになったことはありませんか?

今回はからだと睡眠の関係について、クマの睡眠やナポレオンの短睡眠などに触れながらひも解いていきたいと思います。

動物の冬眠

冬眠をする動物がいることは、みなさんご存じだと思います。冬眠にもそれぞれのスタイルがあり、カメなどの変温動物やヤマネなど小型の恒温動物の冬眠スタイルは、体温がかなり低下し仮死に近い状態です。しかし、比較的大型のクマの場合は冬眠中もあまり体温が低下せず、睡眠に近い状態と言われています。ですので、たまに起きたりするようです。

上野動物園では、ツキノワグマを人工的に冬眠させる試みが行われています。給餌量を減らして室温も低下させていくことで、それまでは7時間くらいだった睡眠時間が徐々に長くなり、やがてほぼ一日中寝ている状態になるそうです。睡眠時間の増加に伴い、体温や呼吸数も低下しますが、冬眠明けが近付くにつれて、睡眠時間が短くなり、体温が上昇するとのことです。

また約3カ月の冬眠明けには体重が10kg(約19%)減少していたとのこと。寝ている間にダイエットしているようで、少しうらやましくもありますが、冬眠前にその分の体重増加があること、寝ている間は食べていないことを忘れちゃいけませんね。さすがにこれは真似できません。

長眠者と短眠者

ヒトでも睡眠時間の長い人(長眠者)がいます。といっても健康な人であれば、クマの冬眠のように一日中眠ることはなく、長くても12時間ぐらいのようです。一方、睡眠時間の短い人(短眠者)もいて、睡眠時間は、3~4時間程度とのこと。ちなみに日本人の平均睡眠時間は7時間22分とのことですが、近年のライフスタイルの変化により、短くなる傾向のようです。
また歳を取ると睡眠時間は短くなる傾向があるそうです。

それぞれの睡眠を調べてみると、「短眠者の睡眠は効率的でコンパクトにまとまっている」と言えるようです。これを聞くと可能な限り睡眠を短くすることを習慣化できると良さそうですが、“健康的に”睡眠時間が短い場合は良いのですが、昼間に眠気があるような場合は、睡眠障害の可能性もあるので注意が必要です。

ナポレオンの睡眠は?

3時間しか眠らなかったといわれているナポレオンは、短時間睡眠者“ショートスリーパー”の代表例とされています。が、日中によく居眠りをしていたという話もあります。このことから、ナポレオンは睡眠障害だったのではないか?という説もあります。

近年、睡眠障害とメタボリックシンドロームの関連が明らかになりつつありますが、ナポレオンの晩年の肖像画を見てみると・・・まさにメタボ体型!!

内臓脂肪が詰まっていそうな丸いお腹に皮下脂肪のついた太い首回り、睡眠障害の可能性もありそうです。

もしかしたらナポレオンは睡眠時無呼吸症候群だったのかも???

 

終わりに

『理想の睡眠時間は8時間』と聞くこともありますが、睡眠時間には個人差があり、必ずしも8時間が良いというわけではありません。また睡眠周期も平均は90分ですが、これにも個人差があります。個人それぞれの睡眠習慣を知る必要がありそうです。

睡眠は運動や食事に並ぶ生活習慣のひとつともされています。けれども、自分がよく眠れているかということは、なかなか客観的に判断できないもの。タニタでは、睡眠の質をはかる「睡眠計」を発売していますので、よく眠れているか不安という方や、睡眠の質を高めて健康管理に活かしたいという方へおすすめです。私も“自分の眠り”を知って、良い睡眠習慣を身につけたいと思います。

 

参考図書
・上野動物園Webサイト  http://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/
・井手桂子ら, “ ニホンツキノワグマの冬眠における睡眠時間および体温の変化”, 動物園水族館雑誌, 2009
・日本睡眠学会編, “睡眠学”, 朝倉書店, 2009
・Hippolyte Delaroche, "Napoleon abdicating in Fontainebleau," 1845
※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。