タニタだけでしか測れない「筋質点数」とは?

2015/10/27 掲載

普段、体組成計・体脂肪計を使っていますか?
持っているけど使っていない、体重しか見ていないという方もいらっしゃると思います。
「あまり変わらないし、たまに測るだけ」
「体重が増えれば体脂肪も増えるし、そんなものでしょ?」というご意見を伺うことがあります。

確かに、ダイエットや筋肉増量を意識していない生活では、毎日の変動は少ないかもしれません。
なので、だいたいの体重が分かっていれば十分と思われるかもしれません。

では、体重や体脂肪率、筋肉量等はだいたい分かっているという方、量の他に質は意識していますか?

 

タニタは2015年、体組成計に新しい項目「筋質点数」を追加しました。
「筋質点数」は筋肉の状態、組成を評価する指標です。タニタでは、これを「筋質」と呼び、点数化しました(0-100点)。
若くて運動習慣があると高得点、高齢であまり動かない生活をしていると低得点になる傾向があります(詳細はこちら)。
たとえば、筋肉量は若いときと変わらなくても、実は質は低くなっているかもしれません。
マラソンが趣味でやせ型のため、筋肉量はいつも少ないと判定が出てしまう方も、質は高いかもしれません。

 

筋肉のこと

筋肉は、ナノメートル単位の細くて短いたんぱく質が伸縮することで動きます。短いたんぱく質が集まって数10マイクロメートル単位にまとまったものが筋線維、筋線維の集合が筋束、さらに筋束が集まって、筋肉が構成されます。筋束の間には、間質と呼ばれる組織があります。

 

筋肉の成長と老い

 ヒトが生まれるときには筋線維の数はほぼ決まっていて、生まれた後はその筋肉を太くすることで成長します。生まれた直後の筋肉は水分(間質)が多く、成長にともなって筋線維が太くなると間質が減って、筋線維が占める割合が増えます。そして、30歳をピークに、筋肉量はだんだん減少傾向に向かいます。この原因の一つが、老化にともなう筋肉の再生能力の低下、筋線維の萎縮や筋組織内への脂肪沈着、線維化があります。つまり、加齢によって筋組織の組成(質)が変化します。

 

 このような筋肉の変化は、機能の低下とも関係します。
つまり質が低下すると、実際に機能する筋肉が少なくなると考えられます。
一般に、筋肉量(断面積)と筋力は比例しますが、同じ筋肉量でも高齢者より若年者の筋力が大きいのです。
(質の低下だけでなく、神経系の機能低下も原因と考えられています)

 筋質点数は、このような変化を簡易的に評価する指標です。体組成計では微弱な電流を流してからだの電気抵抗を測定しますが、デュアル周波数(異なる2つの周波数)を用いることにより、質を評価できるようになりました。

 

 具体的には、どんなことが見えるのか、どんな傾向があるか、3例ご紹介します。

例①筋トレでの変化

 図は、運動習慣のない30代女性が3カ月間筋トレしたときの筋質点数と筋肉量の変化です。体重も筋肉量もほとんど変化がありませんでした。しかし、何もやっていない初回から比べると、日々の変動がありつつも、筋質点数はあがりました。判定も、「低い」から「標準」になりました。この変化は、量をみていては分かりませんでした。(タニタ体重科学研究所調べ)

 

 

例②転んだ人と、転んでいない人の差

 60―80歳代の高齢者で、過去1年で転んだことがあるかないかで、筋質点数を比べてみました。
男性も女性も、転んだことがある人は、統計的に筋質点数が低かったのです。
歩く速さも転んだ人の方が統計的に遅かったのですが、筋肉量や体脂肪率には差がありませんでした。
(タニタ体重科学研究所調べ)

 

例③アスリートと一般の人

20代のアスリート(日常的にスポーツ競技をしている人)と、20代の一般の人の筋質点数を比較すると、下図のようにアスリートと一般では男女ともに大きく異なりました。アスリート=運動習慣がある=筋肉をよく使っていると、筋質点数も高い傾向があります。(タニタ体重科学研究所調べ)

運動が趣味で筋肉量が多い方から「筋質点数って、筋肉量と同じでしょ?」と言われることがありますが、実は違うんです!!

これまで、このコラムでは色々な体組成計の測定項目の紹介をしてきました。今回は、新しい項目「筋質点数」を紹介させていただきました。みなさんの「筋質点数」は何点でしょうか?気になった方は、こちらの体組成計をご検討ください。

 

※体脂肪計・体組成計は、水分変動に影響を受けやすいという特性があります。このため、筋の炎症や浮腫みがある等、体水分が増えた状態だと、低く評価されます。反対に脱水していると、過大評価される可能性があります。

 

 

参考)

・”サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサス―高齢者のサルコペニアに関する欧州ワーキンググループ
 の報告―の監訳”
 厚生労働科学研究補助金(長寿科学総合研究事業)高齢者における加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア)に関する予防対
 確立のための包括的研究班、2012

 

・タニタ体重科学研究所 “高齢者の転倒経験の有無による体力テストおよび体組成の差の検討”
 第2回サルコペニアフレイル研究会発表資料

※本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。このため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって、内容が予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。